スターキーのヘルサブルデバイス「Livio AI(リビオAI)」を徹底レビュー

Livio AI(リビオAI)
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

スターキーより2019年6月17日に発売された「Livio AI(リビオAI)」。このLivio AIは同日発売の補聴器「Livio」シリーズのさらに上位のモデルとして位置づけられるハイスペックなヘルサブルデバイスです。

「ヘルサブル(健康志向)デバイス」と表現しましたが、Livio AIには従来の補聴器とは一線を画する数多くの新機能が搭載されており、耳に装着する3DセンサーとAI(人工知能)を備えた多機能デバイスといっても過言ではありません。

そんなLivio AIの機能や実際に触ってみての使い勝手などを詳細にレビューしていきます。

外観

Livio AI外観
装用状態

Livio AIはRIC(Receiver-In-Canal)と呼ばれる小型耳かけスタイルとBTEと呼ばれる従来型耳かけスタイルが用意されており、充電式RICタイプの場合、耳にかける本体は縦26mm、厚みは8mm程度、重さは約3gと非常に小型のデバイスです。

本体からは細いワイヤーが伸び、耳の中に入るレシーバーと接続されています。
レシーバーの先端には耳のサイズや聴力に合わせて選択したイヤチップ(耳栓)が取り付けられます。
既成サイズのイヤチップの他、耳型を採取してオーダーメイドで作成するイヤチップ(イヤモールド)を使用するとさらにフィット感を向上させることが可能です。

耳にかけると本体は耳の後ろに隠れ、レシーバーにつながるワイヤーも非常に細いため、すっきりとスタイリッシュに装着できます。

カラーバリエーションは全7色

Livio AIの本体カラーは全7色用意されており、お好みに合わせて選択可能です。

※写真上段左から、シャンパン、ブロンズ、エスプレッソ、スターリング。下段左から、スレート、ブラック、ホワイト&スターリング。

カラーバリエーション

補聴機能

スターキー最上位モデルの補聴器と同等の機能

Livio AIは薬機法に基づく医療機器である「補聴器」として一定の性能・安全性の基準をクリアしています。

補聴機能はスターキー社の最上位モデルの補聴器と同等の性能を有しており、言語聴覚士などの専門家によるフィッティング(調整)により、ユーザーそれぞれの聴力に合わせて、聞こえの低下を補うことが可能です。

レシーバーサイズを変更することで、軽度~高度(一部重度まで)の幅広い難聴に対応します。

スマートフォンで音質のカスタマイズも

聴力に合わせたベースとなる調整は専門家のもと行われますが、スマートフォンと接続することにより、ユーザー自身で音質のカスタマイズが可能です。

専用のアプリ「Thrive(スライブ)」ではイコライザーのような画面が用意されており、低音だけを強くしたり、高音を抑えたりというようなカスタマイズができます。
カスタマイズした設定は「メモリー」として名前を付けて保存しておくことで、いつでも簡単に呼び出すことができます。

イコライザーでの音質調整の他、集音範囲を切り替える「指向性」や、周囲の雑音を抑えて人の声を聞き取りやすくする「ボイス強調」などの設定も変更でき、かなりカスタマイズの幅は広くなっています。

Thriveアプリでの音質調整

ストリーミング機能

ストリーミング

Livio AIはスマートフォンとの接続により、通話や音楽を補聴器を通して楽しむことができます。

従来のストリーミング対応補聴器と同様に、iPhoneの場合は中継器不要で直接Livio AIにストリーミング可能です。
Androidでストリーミング機能を利用するためには、中継器としてオプションの「リモートマイク+」(35,000円+税)が必要となるので注意が必要です。
※機種やOSのバージョンによっては対応していないこともあります。

また、オプションの「TVストリーマー」(30,000円+税)を使用することで、スマートフォンだけでなく、テレビや音楽プレイヤーの音声をLivio AIに直接届けることが可能です。
これまで家族と同じ音量では十分にテレビを楽しめなかった方にはおすすめのオプションです。

健康管理機能

Livio AIには、歩数・運動量・身体の動きを検出するセンサーが内蔵されており、健康管理に必要な情報を収集します。

Livio AIと接続したスマートフォンのThriveアプリでは、ユーザーの健康状態を「Thrive健康スコア」という数値で表示します。
Thrive健康スコアは「ボディスコア」(最高100ポイント)と「ブレインスコア」(最高100ポイント)で構成されており、最高200ポイントのスコアで心と身体の健康を示す指標となります。

ボディスコアは、歩数・運動量・座りすぎ回避の3要素でスコアを算出しており、歩数や消費カロリーなどもアプリ上で確認でき、日々の健康管理にも役立ちます。

一方、ブレインスコアは、使用時間・社会交流(コミュニケーション量)・環境リスニングスコア(様々な環境下での使用)の3要素でスコアを算出しており、脳への刺激を客観的に把握することが可能です。

このように身体や脳の活動をスコア化されると、不思議とスコアを上げたくなるもので、積極的に身体を動かしたりコミュニケーションを増やしたりすることが意識付けされていくことでしょう。

健康スコア

転倒通知機能

Livio AIは、内蔵された3Dセンサーを利用することで、装用者が転倒したことを検知し、あらかじめ設定しておいた相手にメッセージを自動的に送信することが可能です。遠方に住む家族にも転倒を知らせることができるので、いざという時に安心かもしれません。

メッセージを受信した相手は、転倒者の位置情報を地図上で確認することも可能となっています。

なお、初期設定では、転倒を検知してから60秒が経過すると通知を送信します。この60秒の間にキャンセル処理を行えば、相手に通知は送信されませんので、誤って転倒検知がされてしまった場合や転倒したけれど特に問題のない場合は通知をキャンセルするようにしましょう。

転倒通知

どこでも聴覚ケア(遠隔調整)

Livio AIは、専用のThriveアプリを通して販売店に遠隔調整のリクエストを送ることが可能です。

これにより、ちょっとした調整であれば店舗に立ち寄る必要がなく、調整を依頼することができ、専門スタッフが提案する内容をLivio AIに加えることができます。

この機能を利用するためには、アカウントの開設が要求されますが、フェイスブックやグーグルのアカウントを利用することもできるため、簡単に遠隔サポートの登録が可能です。

現在の調整状態でどのようなことに困っているか、どの程度困っているかなどを選択し、お店にリクエストを送信することで、それを確認したお店のスタッフが調整を加えてユーザーに返信します。ユーザーは新しい設定と以前の設定を聴き比べして好きな設定を選んで保存することが可能です。

機器に異常がある場合や、耳の聞こえ具合自体が変わってきた場合には店舗で詳しく見てもらう必要がありますが、ちょっとした調整であればどこでも依頼を送信できるので、忙しくてなかなかお店に足を運べない方には便利な機能です。

どこでも聴覚ケア

音声翻訳機能

専用のThriveアプリには音声翻訳機能も搭載されています。スマートフォンのマイクに話しかけることで、異なる言語に翻訳をして、その翻訳音声を補聴器で聞くことが可能です。翻訳は世界27の言語に対応しており、画面上にも文字で表示されます。

翻訳にはインターネットを介するため、環境によっては時間を要してしまったり、うまく翻訳されないこともあります。速度や精度はまだまだ改善の余地はありそうですが、海外旅行先でのちょっとしたやりとりや語学学習時には便利かもしれません。

価格

充電タイプ

Livio AI RIC R 本体
両耳:1,340,000円(非課税)
片耳:670,000円(非課税)

チャージャーケース(充電器)
16,500円(税込)

電池交換タイプ

Livio AI microRIC312 本体
両耳:1,300,000円(非課税)
片耳:650,000円(非課税)

Livio AI RIC312 本体
両耳:1,300,000円(非課税)
片耳:650,000円(非課税)

Livio AI BTE13 本体
両耳:1,260,000円(非課税)
片耳:630,000円(非課税)

まとめ

スターキーのLivio AIは、単なる補聴器ではなく、日々の健康管理にも使えるヘルサブル(健康志向)デバイスです。

ここで記載した以外にも、「補聴器を探す」機能や「AIアシスタント」機能など数多くの機能が搭載されています。

翻訳機能など、まだまだ実用レベルとはいえない段階の機能もありますが、将来的には心拍数の計測もできるようになることも予定されており、さらなる機能の拡充や改善が期待されます。

聞こえだけでなく、身体や脳の健康を向上させることで、より生活の質を高めていくことができるデバイスといえるでしょう。

「にじいろ補聴器」ではLivio AIを取り扱っており、言語聴覚士がフィッテイングを行います。遠隔調整にも対応しておりますので、ご希望の方はお申し付けください。購入前の試聴・貸出にも対応可能です。

(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。