ロジャー(デジタル補聴援助システム)の特徴と使い方

にじいろ補聴器 夏の補聴器乾燥器キャンペーン
Roger(ロジャー)
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

補聴器を装用していても聞き取りが困難な場面というのも存在します。例えば、講演会や学校の授業など、話し手との距離が離れている場合、補聴器では十分に話し手の声が拾えなかったり、周りの雑音にかき消されてしまったりして、聞き取るのは困難になってきます。

そういった場面で聞き取りを助けてくれるのが、ワイヤレス補聴援助システムです。従来から「FMシステム」と呼ばれる補聴援助システムがありましたが、ここでは、FMシステムよりも音質や安定性の向上したデジタル補聴援助システムRoger(ロジャー)について説明していきます。

Roger(ロジャー)とは

ロジャーとは

フォナックより発売されているロジャーは、話し手が使用する「送信機(ワイヤレスマイクロホン)」と、聞き手が使用する「受信機」で構成されるシステムです。

ワイヤレスマイクで拾った音声をデジタル無線方式で送信するので、補聴器や人工内耳だけでは言葉の聞き取りが難しい環境でも、よりクリアな聞こえが実現できます。

ロジャーの価格等については、取扱商品ページをご覧ください。

ロジャーの特徴

誰でも簡単に使える

国内で販売されているほぼ全ての補聴器・人工内耳に対応しているだけでなく、補聴器・人工内耳を使用していない方でも使える受信機も用意されています。

送信機と受信機はボタン一つでつながるので、操作もとても簡単です。

複数台接続可能

ロジャーのワイヤレスマイクから音を届けることのできる受信機の台数は無制限、かつ送信機も複数台使用可能です。

学校での授業や講演会などでも、多くの聞き手に話し手の声を届けられます。

デジタル処理で不要な音は取り除く

デジタル無線方式で高音質の音声を届けるだけでなく、指向性・自動音量調節・デジタル騒音抑制など、独自のテクノロジーで騒音を効率的にカットします。

職場やプライベートでおすすめの送信機「ロジャーセレクト」

ロジャー送信機はこれまで何種類か発売されていますが、ここではまず、2018年8月発売の「ロジャーセレクト」について、使い方などを詳しく紹介していきます。

ロジャーセレクト以外の送信機としては、「ロジャータッチスクリーンマイク」や「ロジャーペン」、「ロジャーテーブルマイクⅡ」といった送信機があります。

コンパクトで軽量なワイヤレスマイク

ロジャーセレクト

ロジャーセレクトは直径55mm×高さ12mmという手のひらに収まるコンパクトサイズで、重さもたったの28gと非常に軽量です。持ち運びの際も邪魔にならず、いつでも気軽に使うことができます。

また、カラーはシャンパン、グラファイトグレー、パールホワイトの3色からお好きなカラーを選択できます。(写真はシャンパン)

microUSB端子での充電式で、2時間の充電で約8時間使用できます。(Bluetooth利用時は約4時間)

卓上モードと首かけモードの自動切換え

ロジャーセレクトは、テーブルの上に置くと自動的に卓上モードに切り替わり、クリップやネックストラップで話し手が装着すると自動的に首かけモードに切り替わります。

卓上モード(セレクトモード)

卓上モード

卓上モードでは周囲6つのLED(マイクロホンモードインジケータ)が点灯します。

マルチビームテクノロジーにより、会話音と騒音の比率を毎秒数百回解析し、6方向・360度、その瞬間の話し手の声をビームのように捉えます。

会議やレストランでの会話など、騒がしい環境での会話にも役立ちます。

特定の方向の選択
セレクトモード

卓上モードで使用しているときに、特定の方向だけの声を聞きたい場合は、その方向を手動で選択できます。

6つあるLEDそれぞれの内側(セレクトキー)をタップすると、そのLEDのみが点灯し、その方向の音を集中的に拾うことができます。

一つの方向だけでなく、複数の方向を同時に選択することも可能です。

ミュート(消音)
ミュート

ロジャーセレクトの中央(センターキー)をタップすると一時的に消音(ミュート)状態にすることもできます。

消音状態では中央のLED(センターインジケータ)が赤く点灯します。

首かけモード

首かけモード

ロジャーセレクトには、本体に取り付けるクリップとネックストラップが付属されています。

これらを使用して話し手がロジャーセレクトを装着すると、上部に位置するLEDのみが点灯し、自動的に首かけモードに切り替わります。

距離が離れていても話し手の声がロジャー受信機に届けられます。

ロジャーセレクトは約15m離れたところまで音声を飛ばすことが可能です。

ドッキングステーションと外部音声入力

ドッキングステーション

ロジャーセレクトにはドッキングステーションという専用の充電台も付属しています。

ドッキングステーションにロジャーセレクトを置くと充電ができるだけでなく、ドッキングステーション背面に設けられた外部音声入力にテレビなどを接続することが可能です。

これにより、テレビの音がロジャーセレクトを通して聞き手に直接飛んでくるので、聞き取りやすくなります。

また、ロジャーセレクト本体にも外部音声を入力できるので、直接本体に音源を接続して音楽などを楽しむことも可能です。

Bluetooth接続にも対応

UDトーク

ロジャーセレクトはBluetooth接続にも対応しており、携帯電話とペアリングをすれば、ハンズフリーでの通話も楽しめます。

また、音声を文字化するアプリとして人気の「UDトーク」やGoogle「Live Transcribe」用のワイヤレスマイクとして使用することも可能です。

会議専用の卓上置き型送信機「ロジャーテーブルマイクⅡ」

次に紹介するのは、2019年3月発売の送信機「ロジャーテーブルマイクⅡ」です。

会議で活躍する置き型卓上マイク

ロジャーテーブルマイクⅡ

ロジャーテーブルマイクⅡは縦横69mm×高さ14mmと、ロジャーセレクトよりやや大きいですが、十分手のひらに収まるほどのサイズで、約4時間の充電で約16時間も使用可能です。

ロジャーテーブルマイクⅡは卓上スタイル専用となっており、まさに会議専用モデルといえるでしょう。複数台接続することも可能で、より広い会議室にも対応可能です。
※ただし、複数台接続時には、各マイクから同時に音声が入ってくるわけではなく、最初に音声を拾ったマイクが優先されて、一つのマイクのみから音声が入ってきます。(難聴者にとって複数人の音声を同時に聴取するのは非常に困難なため)

付属のリモコンで集音範囲の切り替えやミュート操作が可能

ロジャーテーブルマイクⅡ

ロジャーテーブルマイクⅡには専用のリモコンが付属されており、マイクの集音範囲を切り替えたり、一時的にミュートにするといった操作が可能です。

集音範囲は基本の「広域」と、より範囲を狭める「狭域」の2種類を切り替えて使用可能です。
「広域」での集音距離は約3m、狭域での集音距離は約1.5mとなっており、少人数のミーティングで周囲の雑音の影響を少なくしたい場合は、「狭域」に変更して使用するのがおすすめです。

なお、ロジャーテーブルマイクⅡとロジャー受信機間の通信可能距離は、ロジャーセレクトと同じく約15mとなっています。

外部音声入力にも対応

ロジャーテーブルマイクⅡ

ロジャーテーブルマイクⅡ本体の側面には、充電用のUSBソケットの他に3.5mmオーディオジャックが設けられており、外部音声の入力にも対応しています。

例えば、テレビ会議や電話会議の機器と接続することで、その音声を直接補聴器に飛ばすといったことも可能となります。
※外部音声入力時はロジャーテーブルマイクⅡのマイク入力は自動的にミュートとなります。

ただし、ロジャーセレクトとは異なり、Bluetooth接続には対応していませんのでご注意下さい。

お使いの補聴器・人工内耳に合わせて受信機を選択

ロジャー受信機にもいろいろな種類がありますが、お使いの補聴器・人工内耳によって選択すべき受信機は異なります。

機種は限定されるが、邪魔にならない一体型受信機

フォナック製の耳かけ型補聴器(一部)や主要な人工内耳であれば、補聴器・人工内耳に直接接続可能な一体型の受信機が使えます。

電源は補聴器・人工内耳から供給されるので、補聴器・人工内耳の電池寿命が短くなるデメリットはありますが、別途受信機を首にかける必要はなくなるので、邪魔になりません。

テレコイル対応機種で気軽に使えるロジャーマイリンク

ロジャーマイリンク

ロジャーマイリンクはテレコイル(Tコイル)内蔵の補聴器・人工内耳に対応した受信機で、首にかけて使用します。

補聴器側ではテレコイルを使えるようにプログラムを設定して、ロジャー使用時にはプログラムの切り替えが必要になります。

オーディオシュー・アダプタを介して接続するロジャーエックス

ロジャーエックス

ロジャーエックスは耳かけ型補聴器や人工内耳にオーディオシューやアダプタを取り付け、そこに接続して使用します。

また、耳あな型補聴器やオーディオシューの取り付けられない小型耳かけ型補聴器でも、各メーカーから発売されているワイヤレスアクセサリに接続して使用できる場合もあります。

正常聴力でもロジャーを使うことはできる

ここまで、補聴器や人工内耳の装用者向けにロジャーの使い方について解説してきましたが、実は補聴器・人工内耳を装用していない人でもロジャーを使用することが可能です。

ロジャーフォーカス

ロジャーフォーカス

ロジャーフォーカスは補聴器・人工内耳不要のレシーバ内蔵型受信機です。

騒がしいところでの聞き取りが苦手な方が使用することで、話し手の声が直接耳に届いてくるので、周りの騒音の影響を少なくすることが可能です。

一側性難聴(UHL)や聴覚情報処理障害(APD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)の方などへの支援にも利用される場合があります。

ロジャーマイリンクからのヘッドホン出力も可能

ロジャーマイリンクには、ヘッドホン端子がついているので、ヘッドホンを接続し、補聴器を使用していない方でもヘッドホンを介して使用可能です。

障害者差別解消法による合理的配慮の事例として増えるロジャー設備導入

「合理的配慮」とは、障害者権利条約第2条の定義によると、障害のある人が他の人同様の人権と基本的自由を享受できるように、物事の本質を変えてしまったり、多大な負担を強いたりしない限りにおいて、配慮や調整を行うこととされています。

2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」により、合理的配慮の提供は、国の行政機関・地方公共団体等の場合は法的義務、民間事業者の場合は努力義務が課されています。

聴覚に障害のある学生や従業員に対する合理的配慮の一環として、ロジャーを導入する大学や自治体・企業が徐々に増えてきています。

難聴のある方にとって、広い講堂での授業や、会議室における複数人でのミーテイングなどは、聞き取りにくい場合も多く、就学・就業に際し障壁となることがしばしばあります。

ロジャー等の導入により、聴覚に障害のある方が学びやすい・働きやすい環境を整備することで、学校・企業にとっても多様な人材を活用すること、そして誰にとっても過ごしやすい社会を形成することにつながっていくでしょう。

まとめ

騒がしい場所や、話し手が離れている場面での聞き取りに有効なロジャー。

補聴器・人工内耳装用者はもちろんのこと、補聴器・人工内耳を使用していない方も含めて誰でも使うことができる補聴援助システムです。

にじいろ補聴器では各種ロジャー製品を取り扱っており、試聴・貸出対応も可能ですので、お気軽にご相談ください。

また、ロジャー導入を検討されている学校・企業・自治体の皆様からのご相談もお受けいたします。

(本記事は、言語聴覚士が監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。