補聴器・聞こえの
無料相談受付中
(予約優先制)
言語聴覚士とは
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
リハビリと聞くと歩いたり、指先を使うことをイメージする人が多いかもしれませんが、ことばやコミュニケーションに困っている人もいます。そういった方に関わるのが、医療系国家資格のひとつである「言語聴覚士(Speech-Language-Hearing-Therapist:ST)」です。
言語聴覚士の専門性のひとつには聴覚分野があり、補聴器の相談やコミュニケーションの相談に応じる仕事に就いている人もいます。この記事では、言語聴覚士の仕事について紹介します。
言語聴覚士とは
言語聴覚士は、ことばやコミュニケーションについて困っている本人や、その家族、身近な方々の支援を行う職業です。ことばやコミュニケーションに関わる障害は、染色体異常や発達障害、難聴など、生まれつきのものだけではなく、脳血管障害や悪性腫瘍といった病気や、交通事故などによるケガなどによっても生じます。
言語聴覚士は、心理学的な手法も取り入れながら言語・コミュニケーション機能の回復や学習を促していきます。話すことだけではなく、聞くことや読むこと、書くこと、家庭や学校、職場などで必要になる対人コミュニケーションについてもアプローチを行います。
さらに、病気やケガ、加齢などによる摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害についても対象としています。患者さん本人はもちろん、家族や身近な方々にも助言を行い、お子さんから高齢の方まで、多くの方に接する機会がある職種と言えるでしょう。
言語聴覚士はどこで働いているの?
言語聴覚士の職場は、病院や高齢者施設、小児に関わる施設や企業、補聴器メーカーや販売店と多岐に渡ります。
病院
入院や外来の患者に対してのリハビリテーションを提供します。総合病院だけではなく、リハビリテーション専門の病院や、脳外科や内科、耳鼻科や小児科といった専門病院に所属する人もいます。
高齢者施設や訪問看護ステーション
高齢者入所施設や、デイサービスセンターなどの介護保険施設に所属する言語聴覚士もいます。また、訪問看護ステーションに所属し、在宅での生活の中でリハビリテーションを提供している言語聴覚士もいます。
小児に関わる施設
言語聴覚士は、さまざまな障害があるお子さんが、その子らしく成長していけるように、本人や保護者を支援していきます。小学校に入る前のお子さんが、毎日通う通園型施設や、小学校入学後、18歳まで利用できる放課後等デイサービスという施設で勤務している人もいます。
市区町村の福祉センター
公的な機関に勤務し、障害のある方の相談に応じたり、障害者手帳や補装具の給付に関わる業務などを行ったりしています。また、乳幼児の発達検診に関わることもあります。
教育機関
数は少ないものの、特別支援学校や教育センター等の教育に関わる機関で勤務している人もいます。障害のあるお子さんや、その家族からの相談に対応したり、教員からの相談に応じたりしています。
言語聴覚士養成施設
言語聴覚士を育てる養成校の教員として働いている人もいます。大学や大学院、専門学校などさまざまな校種があります。
補聴器専門店
補聴器専門店に在籍している言語聴覚士はとても少ないですが、より質の高い補聴器選びや聞こえのサポートができるよう、在籍しているお店もあります。(当店にも在籍しています。)
聴覚分野ではどのようなことをしているの
言語聴覚士は、聴覚についての専門性を有しています。そのため、補聴器販売店や補聴器メーカーなどに在籍したり、難聴のお子さんが幼児期に通う通園施設や、ろう学校で勤務したりしています。ここでは、聴覚分野での言語聴覚士の役割について紹介していきましょう。
聴力測定
聴力測定は必ずしも言語聴覚士が行わなければならないというものではありません。しかし、聴力を的確に把握し、補聴器の適切な装用に繋げたり、お子さんのことばの発達を適切に促したりするために、言語聴覚士の視点から必要な測定や検査を行います。
補聴器のフィッティング
補聴器は購入時だけではなく、購入後も調整が必要な機器です。こういった調整をフィッティングといい、言語聴覚士が行っていることもあります。補聴器のフィッティングも、必ずしも言語聴覚士が行わなければならないというものではありません。
難聴の人の言語リハビリテーション
難聴といっても、生まれつき耳が聴こえない方もいれば、病気やケガなどで徐々に、あるいは突然聴力を失う方まで難聴の原因は様々です。中には、話し言葉ではなく手話をコミュニケーションの中心に置く人ももちろんいます。
一方で、補聴器を装用して聴こえている聴力を使って、日本語を学び、生活をしたり学習をしたりすることも大切なことです。言語聴覚士は、その方や家族の希望も踏まえながら、ことばやコミュニケーションをスムーズにしていくための支援を行っていきます。
補聴器販売店に必ずいるわけではないがニーズは高い
日本での補聴器の販売に際しては、残念ながら言語聴覚士が必ずいるわけではありません。しかし、補聴器に関しては、認定補聴器技能者という認定資格があり、資格所有者は数年間の研修や試験を経て認定を受けたプロフェッショナルです。言語聴覚士の中にも、この認定資格を取得したり、取得を目指したりしている人もいます。(にじいろ補聴器には、言語聴覚士・認定補聴器技能者、両方の資格をもったスタッフが在籍しています。)
今後、高齢化に伴う老人性難聴の増加や小児難聴に対応するためにも、音声・言語・コミュニケーション面まで熟知した言語聴覚士が補聴器フィッティングの現場に積極的に参入してくることが望まれます。
まとめ
言語聴覚士はことばやコミュニケーション、食べることを専門とし、聴覚についても学んできている職種です。残念ながら、言語聴覚士は必ずしも補聴器の販売に携わっているわけではありませんが、もし、かかりつけの病院や施設に所属していたら、相談してみても良いのではないでしょうか。
また、たとえ言語聴覚士ではなくても、認定補聴器技能者の資格を持った販売員は補聴器への専門性が高いプロフェッショナルです。安心して相談できるでしょう。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
あわせて読みたい関連記事
この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。