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スターキー Livio Edge AI 充電式耳あな型を徹底レビュー


【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
スターキーより2020年6月24日に発売された「Livio Edge AI(リビオエッジAI)」。2019年に発売され好評の「Livio」シリーズのハイエンドモデルがAI機能をパワーアップして新登場。
3Dセンサー搭載により、運動量のモニタリングなどができるようになるだけでなく、補聴器をタップするだけで、AIによってその環境に最適な音の調整がされるなど、これまでの補聴器にはない機能が搭載されています。
また、注目すべき点として、世界初の充電式オーダーメイド耳あな型のモデルも今回追加されました。Livio Edge AIの充電式耳あな型補聴器を実際に触ってみての使い勝手などを詳細にレビューしていきます。
外観
サイズは3種類

Livio充電式耳あな型補聴器は、ユーザーの耳型を採取してオーダーメイドで作成しますが、出来上がりのサイズを3種類から選ぶことができます。サイズの小さいものからITC(In-The-Canal)、HS(Half-Shell)、ITE(In-The-Ear)というスタイル名となっています。
筆者も自分の耳型でLivio Edge AI充電式耳あな型補聴器を作成してみました。中間のサイズのHSスタイルを選択しましたが、目立ちすぎずちょうどワイヤレスイヤホンのような見た目となり、従来の補聴器のイメージとは少し違ったクールな印象を与えます。
各サイズのイメージは以下の写真の通りです。もう少しコンパクトに収めたい場合はITCを選択し、逆に目立たせたい場合や安定感を高めたい・ハウリングリスクを抑えたい場合はITEを選択すると良いでしょう。

フェイスプレートとシェルカラーの組み合わせも選択可

Livio充電式耳あな型のカラーは、耳の中に入るシェルと外側から見えるフェイスプレートそれぞれのカラーを選択することができます。
シェルカラーは、ブラック、ベージュ、レッド、ブルー、クリアの5色、フェイスプレートカラーは、ブラック、ベージュの2色が用意されており、左右でカラーを変えることもできるので、自分好みのカラーを選択しましょう。
筆者は、右をレッドシェル+ブラックフェイスプレート、左をブルーシェル+ブラックフェイスプレートで作成しています。
なお、フェイスプレートにはゴールドの充電端子が付きますので、特にブラックフェイスプレートだと充電端子が目立つようになります。
スターキージャパンのブログでは、他のカラーバリエーションの写真も掲載しているので参考にしてください。

充電機能
専用チャージャーケースで充電

Livio充電式耳あな型補聴器は専用のチャージャーケースで充電して使用します。
チャージャーケースには2台分(両耳)の充電端子が設けられており、そこに補聴器をセットすることで充電することが可能です。チャージャーケースの端子と補聴器の端子は互いに磁石でくっつくようになっているため、多少の振動などでは補聴器がずれ落ちることはありません。
チャージャーケースにセットすれば、自動的に補聴器の電源がオフになり充電が開始され、チャージャーケースから外すと自動的に補聴器の電源が入ります。
3.5時間の充電で約23時間連続使用することが可能なので、夜寝るときに充電しておけば一日中安心して使用できます。(補聴器の調整状態や使用状況によって連続使用可能時間は異なります)
チャージャーケース自体にも充電ができるため、外出先で電源コードがなくても、ケースにセットするだけで補聴器の充電が可能です。
補聴機能
軽度~高度(一部重度まで)の難聴に対応
Livio充電式耳あな型補聴器は、作成時に搭載するレシーバの種類によって高度難聴や一部の重度難聴まで幅広く対応可能です。レシーバは後から変更することはできないため、専門スタッフに適切なレシーバを選択してもらいましょう。
空間スピーチエンハンス機能は耳あな型には非搭載
Livio Edge AI充電式耳あな型では、従来のLivioシリーズの大部分の機能は搭載されていますが、耳かけ型には搭載されている両耳間での音声ストリーミングによる高度な雑音制御機能である「空間スピーチエンハンス」機能が搭載されていません。
レストランのような、より聴取困難な環境では「空間スピーチエンハンス」機能を搭載している耳かけ型に軍配が上がるかもしれませんが、衝撃音抑制機能や両耳で通信を必要としない雑音抑制機能は耳あな型でも搭載されているため、これらの機能により騒がしい環境での快適性は向上します。
エッジモード
補聴器をタップするだけでAIが環境に合わせて自動調整
Livio Edge AIで搭載された新機能がこのエッジモードです。
補聴器本体を「トントン」と2回タップするだけで、補聴器に搭載されたAIが周囲の音響環境を分析しリアルタイムで自動調整を行ってくれるというLivio Edge AI独自の機能です。
エッジモードを起動すると、補聴器のゲイン(音の増幅度合)、雑音抑制機能、指向性モードなどが周囲環境に合わせて瞬時に調整されます。
従来の補聴器でも周囲の環境に自動適応して雑音抑制や指向性の切り替えなどは行われていたのですが、比較的小さい調整をゆっくりと行っていました。エッジモードでは、より大幅な調整が望まれる場合に、ユーザーによって起動することが可能です。
筆者も電車に乗りながらエッジモードを試してみたところ、明らかに音質が変化したことを実感でき、車内アナウンスなどが浮き立って聞こえる印象を持ちました。
従来は、「会議用」「屋外用」など複数のプログラムをあらかじめ店舗で設定して切り替えて使用するという方法を取ることもありましたが、Livio Edge AIであれば、その場に適した音質をAIが提供してくれるため、わざわざ店舗で複数プログラムを設定してもらう必要がなくなります。
ストリーミング機能
iOSや一部androidからダイレクトストリーミング

Livio Edge AIはスマートフォンとの接続により、通話や音楽を補聴器を通して楽しむことができます。
iPhoneの場合やandroid10以上を搭載した一部のandroid機種(Google Pixel3/4等)であれば、中継器不要で直接Livio Edge AIにストリーミング可能です。まさにワイヤレスイヤホン!という使い方ができるのです。
ダイレクトストリーミング非対応のスマートフォンや音楽プレイヤーでも、中継器としてオプションの「リモートマイク+」(35,000円+税)や「TVストリーマー」(30,000円+税)を使用するとLivio Edge AIへのストリーミングが可能となります。
Stream Boostで低音もしっかり補う
通常の会話を聞くための補聴器の出力特性のままだと、特に軽・中等度難聴の方の場合、低音をそれほど強く出力しなかったり、ベントと呼ばれる通気孔から低音が耳の外へ逃げて行ったりしてしまうため、スマートフォンなどからのストリーミング音声の低音も失われ、物足りない音質になってしまいます。
Livioシリーズをはじめスターキーの補聴器では、「Stream Boost(ストリームブースト)」というストリーミング専用のプログラムが用意されており、初期設定ではストリーミング時に自動的にStream Boostに切り替わります。
Stream Boostでは、失われがちな低音をしっかり補正してくれるため、十分な音量感を感じることができます。Stream Boostではない通常のプログラムでもストリーミング音声を聞くことは可能なのですが、メーカーの調査でも音楽や通話音声について多くの被験者がStream Boostのほうが好ましいと回答しています。
Thriveアプリ
Livioシリーズ専用のアプリとして「Thrive(スライブ)アプリ」がiOSおよびandroid向けに用意されています。
補聴器の音量コントロールや音質調整といったリモコン機能の他、Livio Edge AIに搭載された3Dセンサーを活用した様々な機能を利用することができます。
Thriveアプリとの連携で使用できる機能(一例)
- ボディスコア:歩数など運動量をスコアリング
- ブレインスコア:社会交流など脳の活動をスコアリング
- 転倒通知:転んだ時にアラートを通知
- Thriveケア:ユーザー見守りアプリ対応
- ボイスコマンド:声で補聴器のボリューム等を操作
- セルフチェック:内部部品の状態を診断テスト
- どこでも聴覚ケア:補聴器の遠隔調整をリクエスト
- リマインド通知:スケジュールを読み上げて通知
アプリの安定性はandroid版よりiOS版が上か?
筆者はiOS版、android版の両方を試してみましたが、iOS版と比べるとandroid版はやや動作が不安定な印象があります(片耳だけ接続が解除されたり、読み込みに時間がかかったりということが何度かあった)。
筆者が普段試使用しているスマートフォンはandroid(Google Pixel)なので、今後のandroid版のアプリの安定性の向上には期待したいところです。

価格
Livio Edge AI 充電式耳あな型
補聴器本体
両耳:オープン価格 (当店参考価格:1,360,000円)(非課税)
片耳:オープン価格 (当店参考価格:680,000円)(非課税)
チャージャーケース(充電器)
16,500円(税込)
耳かけ型や機能を限定した下位モデルも
耳かけ型や下位モデルの価格については取扱商品ページをご覧ください。
まとめ
スターキーのLivio Edge AIは、世界初の充電式オーダーメイドワイヤレス耳あな型という画期的な製品です。
ワイヤレスイヤホンのような見た目で、オーダーメイドならではのフィット感も積極的に使いたくなる心地よさです。
エッジモードというAI機能で環境に合わせた聞こえの自動調整、アプリでの健康管理機能など、他社にはない独自の機能が充実しています。
スマートフォンからのダイレクトストリーミングで通話や音楽も楽しむことができ、豊富なワイヤレスアクセサリーも使用することで、より多くの場面に対応することができ、より豊かな生活につながるかもしれません。
「にじいろ補聴器」ではLivio Edge AIを取り扱っており、言語聴覚士がフィッテイングを行います。遠隔調整にも対応しておりますので、ご希望の方はお申し付けください。
※補聴器は適切なフィッティング調整により、その効果が発揮されます。しかし装用者のきこえの状態によっては、その効果が異なる場合があります。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
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この記事を監修した人

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。