聴力測定と検査

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聴力測定と検査
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

一人一人に合ったメガネをつくる際に視力検査を行うように、補聴器を作成する際には聴力測定や検査を行います。

聴力検査には、多くの人が一度は受けたことがある検査の他にも、いくつかの検査があります。ここでは聴力測定や検査の方法について紹介していきましょう。

基本的な聴力測定は?

基本的な聴力測定は、「音」を聞きとる検査と「話しことば(語音)」を聞き取る検査に分かれます。

純音聴力測定(検査)

音の高さはHz(ヘルツ)という単位で示され、数字が小さいほどに低い音、数字が大きくなるほどに高い音を表されます。

私たちが日常の中で聞いている音は様々な周波数の音が組み合わさっています。

一方で機械によって、ある周波数の音だけを取り出した音を「純音」と言います。純音聴力測定は、特定の周波数の音がどの音量で聞こえるかを測定します。

ヘッドフォンを着けて「ピーっという音が鳴ったらボタンを押してください」という検査を受けたことはないでしょうか。

健康診断などでは2種類程度の周波数しか測定しませんが、詳しく調べる際には低い音から高い音まで測定します。

そして、オージオグラムという聴力を示すグラフに記入をしていきます。

語音聴力測定(検査)

語音聴力測定は、日本語の語音が、どの程度の音量で聞き取れるかを確認する測定方法です。

語音は純音に比べて複雑な構造を持っています。私たちが生活の中で用いる語音の聞き取りの状態を知ることは、補聴器を購入する前にも、購入後のチェックにも大切です。

語音聴力測定は、語音了解値測定と弁別測定に分かれます。

語音了解閾値(SRT)測定

語音を聞きとる検査です。段々と音量が小さくなっていく1桁の数字を聞き取って、どの音量まで聞き取れるかを測定します。

記述が基本となりますが、難しい場合は口頭で答えてもらうこともあります。語音了解閾値は、通常は純音聴力測定で得られた聴力の平均値と同等になります。

語音弁別測定

語音弁別測定は、「あ」「さ」「た」などの無意味な語音を1音ずつ聞き取り、その正答率を算出する検査です。

いくつかの決められた表があり、それぞれ異なる音量で聞き取っていきます。記述が基本となりますが、難しい場合は口頭で答えてもらうこともあります。

音量が大きければ結果が良いというものでもなく、その人なりに聞きやすい音量があります。

その他の耳に関わる検査

耳に関わる検査は、聴力測定だけではありません。代表的な検査を挙げていきましょう。

SISI

ヘッドホンを着けた状態で、片耳に一定の感覚で音を聞かせます。時々音が大きくなるので、変化に気づいたら知らせるという検査です。

聴性脳幹反応聴力検査(ABR)

脳波を測定することで聴力を測定する検査です。音を聴かせて、脳の反応を記録していきます。

得られたデータから波形を分析することで、聴力の程度だけではなく障害の部位についても推測が可能です。

乳幼児や、検査の理解が難しい人などの聴力を測定するために用いられます。客観的なデータを得るための検査のひとつです。

自記オージオメトリ

音が聞こえているときはボタンを押し続け、聞こえなくなったらボタンから指を外すということを繰り返します。

色々な高さの音を聞いて測定する方法と、同じ高さの音を一定時間測定する方法があります。

他の検査と併用することで障害の部位を推測します。検査は時間がかかるため疲労に注意する必要があります。

ティンパノグラム

耳の入口から鼓膜までを外耳道と言います。ティンパノグラムは外耳道に空気を送り、音がどのように鼓膜に伝わっているかを測定する検査です。中耳炎の診断に用いられ、短時間で終わる検査です。

耳音響放射検査(OAE)

耳の奥の部分を内耳といいます。内耳は外から受け取った音を電気信号に変えて中枢に伝える器官ですが、受け取った音を反射して外に返すという作用もあります。この現象を測定することで内耳の状態を調べる検査です。

耳小骨筋反射検査(SR)

鼓膜の先には、耳小骨と呼ばれる小さな骨が組み合わさっている中耳という部分があります。中耳は外から聞こえてきた音の振動を適切に調整して内耳に伝える役割をしています。

この耳小骨の動きを調整しているのが耳小骨筋です。耳はとても繊細な器官です。大きな音による損傷を防ぐために、大きな音に対しては耳小骨筋が収縮して耳小骨の動きを制限しています。

耳小骨反射検査は大きな音を聴かせたときの耳小骨筋の動きを記録し、耳小骨筋をコントロールしている顔面神経の障害を調べます。

検査(測定)はどこで行うの?

聴力検査は、まずは耳鼻科で測定することが望ましいでしょう。難聴の原因が何か、治療する必要はないのか、どこまで改善するのかなどを医学的な視点で判断します。医学的な治療の必要性がなかったり、治療による改善が難しかったりする場合には補聴器を検討することになるでしょう。

また、補聴器店でも、基本的には純音聴力測定や語音聴力測定の設備があります。本人や家族からの情報を聞きながら必要な測定を行い、一緒に補聴器を選んだり、定期的なメインテナンスを行ったりしていきます。

まとめ

耳に関わる検査といっても、音や語音を聞く検査だけではなく、脳波の測定や、中耳や内耳の機能を測定するものなど様々なものがありました。

補聴器を希望する全ての人が全ての検査を受けるとは限りませんが、まずは耳の状態を客観的に調べることが大切です。

(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。