補聴器外来・補聴器相談医とは

補聴器外来・補聴器相談医とは
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

聞こえにくくなってきたと思ったら、まずはどこに相談すれば良いのか悩む方もいるかもしれません。補聴器販売店でも聴力測定は行いますが、疾病の診断はできません。特に初めて補聴器の使用を検討される場合、もしかすると耳の病気が隠れていて、治療によって聴力が回復するかもしれません。

耳鼻咽喉科の医師の中でも、補聴器に関して適切な助言のできる「補聴器相談医」という医師がいます。また、その場で補聴器の調整等も行うことのできる「補聴器外来」を設置する病院もあります。まずは、こういった医師・病院を探してみると良いでしょう。

補聴器外来とは

補聴器外来を設置している病院では、補聴器に関する助言を受けるだけでなく、病院内で補聴器の調整まで行うことが可能です。

週に1回、月に1回など、病院によって決まったスケジュールで開設されているケースがほとんどです。

スタイルは病院によって異なる

一口に補聴器外来と言っても、病院によって流れや対応内容は様々です。

多くの場合、医師と外部の業者(販売店)が協力して補聴器外来を運営しており、数週間~数か月の期間、試聴器を借りた上で、実際に補聴器を購入するかどうか判断していくことになります。この試聴期間の間に、何度か病院に通って、聞こえ具合の確認や微調整を重ねます。また、購入後も必要に応じて定期的なメンテナンスのために通う場合もあります。

医師の診察と補聴器の調整が行われますが、補聴器の調整に関しては、病院所属の言語聴覚士等の医療従事者が行う場合もあれば、協力する業者(販売店)のスタッフが医師の指示のもと行う場合もあります。病院外の業者(販売店)のスタッフが患者さんの対応をする際には、その身分を説明することが義務付けられていますので必ず確認するようにしましょう。

なお、すでに補聴器をお持ちの方でも、器種によって調整を受け付けてくれる場合もあります。

補聴器外来のメリット

基本的に補聴器外来では、医師の診察と補聴器の調整がセットになっているため、その場で医師による補聴器の調整状態の確認や助言を受けられるという点がメリットとして挙げられます。

補聴器装用に関してよくわからない点や不安なことは、遠慮せずにその場で医師に相談して解消していくようにしましょう。

補聴器外来で補聴器を購入する際の注意

補聴器外来で補聴器を購入する場合、基本的には病院からの購入ではなく、補聴器外来に出入りする業者(販売店)からの購入となります。

補聴器は購入して終わりではなく、購入後のメンテナンスも重要です。そこで、購入後のメンテナンスはどこで行うのかも必ず確認するようにしましょう。

メンテナンスを病院で行う場合は、補聴器外来が開かれている日(業者が来院している日)に受診する必要があります。購入した販売店でメンテナンスを行う場合は、営業日であれば基本的にいつでも対応してもらえますが、通いやすい場所にお店があるかどうかは事前に確認しておくと良いでしょう。

補聴器外来の場合、選択する補聴器のメーカーは限定されてしまうケースもあります。音質等にご自身で納得できない場合は、必ずしも購入の義務はありませんので、遠慮なく医師に相談してみましょう。

なお、店頭へ来店しての購入とは異なり、補聴器外来での補聴器購入の多くの場合は、業者の訪問販売にあたるため、クーリングオフの対象となる可能性があります。
※販売形式によっては対象にならない可能性もありますのでスタッフにご確認ください。

補聴器相談医とは

補聴器相談医は、難聴者がそのコミュニケーション障害に有効な補聴器を適正に選択して使用できるように対応することを目的として、日本耳鼻咽喉科学会が認定しています。

補聴器相談医は、聞こえに不自由を感じるようになった人に対して、耳の診察・聴力検査を行い、難聴の種類を診断します。もしその難聴が治療可能なものであれば適切な治療を行い、治療不可能な場合に、補聴器が必要かどうか、どのような補聴器が適しているかといったことをアドバイスするだけでなく、販売店と連携し、補聴器の調整状態の確認・経過観察といったところまで対応します。

補聴器相談医と補聴器販売店をつなぐ「診療情報提供書」

補聴器相談医が補聴器の適合等が必要な患者さんを、言語聴覚士認定補聴器技能者に紹介するための情報提供に関する書面が「補聴器適合に関する診療情報提供書」と呼ばれるものです。

この診療情報提供書は、補聴器の処方箋のようなもので、日本耳鼻咽喉科学会で定められた一定の様式があり、耳の状態や聴力、補聴器選択の注意事項といったような内容が含まれています。

この診療情報提供書の内容をもとに、補聴器販売店では補聴器を選択・調整していくことになります。また、調整完了後に販売店は、その内容を診療情報提供元の補聴器相談医に報告することとなっています。

さらに、補聴器の購入費用を医療費控除の対象にするためには、この診療情報提供書が必要になる場合もあります。

病院で補聴器販売店を紹介される場合もありますが、ご自身で通いやすい信頼できる販売店を選んでいただいて構いません。必ず診療情報提供書を持参しましょう。「にじいろ補聴器」でも、診療情報提供書をご持参のお客様には、その内容をもとに補聴器を選択・調整いたします。

※診療情報提供書がなくても、補聴器販売店での補聴器の購入・調整は可能です。

近所の補聴器相談医を探す

補聴器相談医の名簿は日本耳鼻咽喉科学会のホームページ上で公開されています。近所に補聴器相談医がいるか一度確認してみると良いでしょう。

外部リンク:補聴器相談医名簿(一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会)

まとめ

「補聴器相談医」や「補聴器外来」といった仕組みは、聞こえに不自由を感じ始めた方にとって、適切な診断と補聴器のアドバイスをもらえる重要な仕組みです。

少しでも耳の状態に不安のある方は、ぜひ補聴器相談医に相談のうえ、言語聴覚士や認定補聴器技能者の在籍する補聴器販売店にご来店ください。

(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。