補聴器の価格・相場

補聴器の価格・相場
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

補聴器は管理医療機器のひとつであり、購入する際は信頼できる販売店を見つけて詳しく相談することが必要です。

相談の中でやっぱり気になってくるのが補聴器の価格です。補聴器は高額とはいいますが、いったいどの程度の価格なのでしょうか。

この記事では補聴器の価格について取り上げていきます。

補聴器の価格

補聴器の価格は数万円から数十万円程度のものまでと大きな幅があります。その価格の違いを形状による違いと使用目的による違いから紹介しましょう。

形状による違い

補聴器には、いくつかの形状があります。(補聴器の種類

耳かけ型

小型で耳の後ろにひっかけて装用するタイプの補聴器で、機能も豊富です。最新型のものの中には、長さがわずか2~3センチ程度のものもあるくらい小型化が進んでいます。

カラーバリエーションも豊富など、デザイン性にも優れています。金額は片耳あたり5~数十万円程度と大きく幅があります。

機能面やデザイン、オーダーメイドイヤモールド(耳栓)などによって価格は変わります。

各メーカーが「標準モデル」として発売している器種は片耳20万円台くらい(両耳で40~50万円程度)のものが多いでしょう。

耳穴型

耳穴型は、その名のとおり耳穴に挿入して使う小型の補聴器です。

耳穴にすっぽりと入ってしまうほど小型のものもあり、目立たないのが特徴です。価格としては、片耳あたり5~数十万円程度と大きく幅があります。

耳穴型の中でも、いくつかのサイズがあり搭載されている機能が異なります。たとえばボリュームをコントロールするボタンなど、標準搭載されていない機能をオプションで追加すると高額になります。

各メーカーが「標準モデル」として発売している器種は片耳20万円台くらい(両耳で40~50万円程度)のものが多いでしょう。

ポケット型

本体が比較的大きく、胸ポケットなどに入れて使用する補聴器です。

小型な補聴器が主流にはなっているものの、操作性の面や電池が長持ちする点などから、ポケット型を選ぶ方もいます。

価格は他のタイプに比べると安価な方で、4万円程度からでしょう。

使用目的による違い

補聴器の使用目的によっても価格は変わります。たとえば生活の多くの時間を家庭や施設で使う人は、機能性の面でそこまで複雑なものを選ぶ必要がないかもしれません。

一方、学生や働き盛りの社会人や、外出が多い人などは、教室や会議、雑踏の中での聴こえやすさや、運動量なども考慮しながら形状タイプや機能を選んでいく必要があります。

一般的に、機能性が高い補聴器ほど高額になりますし、デザインにこだわりのあるときも価格は高めになるでしょう。

また、デザイン面よりも機能面のほうが価格を左右する大きな要素になります。

価格帯別の機能・性能の目安もまとめてありますので、こちらも参考にしてください。

補聴器の価格に含まれているもの

補聴器の価格は、なぜそこまで高いのでしょうか。最近の補聴器は小型軽量化が進むとともに、デジタルタイプが主流となりました。

デジタルタイプでは、ハウリングという不快な音を抑えたり、シーンに合わせて話し声を聞きやすくするために周囲の音を調整したりするといった機能が進化しています。こういった機能が優れているものほど高額になる傾向があります。

しかし、価格が高い理由はそれだけではありません。補聴器は、管理医療機器にあたり、一定の基準を満たして製造出荷され、さらに一定の基準を満たした販売店でのみ販売されています。

補聴器の購入に際しては、聴力測定のほかに、ことばの聞き取り測定など細やかな測定を行います。また、補聴器を使用する人のニーズを細かに聞き取り、機器を選定していきます。

補聴器は購入後もすぐに快適に仕上がるということは稀で、実際に使いながら不具合を調整して自分の補聴器をつくりあげていきます。

自分にぴったりの補聴器が出来上がるためには、こういったカウンセリングや調整が必要です。補聴器の価格には、相談料も含まれていると考えると良いでしょう。

補聴器を買う時に注意したいこと

補聴器を買う時に注意したいことを、価格にまつわる視点から挙げておきましょう。

値段に左右されすぎない

補聴器を選ぶ際に大切なことは、使用する人の耳の状態のほかに、どういった生活場面で使いたいのかといった個々の事情が大切です。

安価なものを買ってみたけれど、実際に生活をしてみたら困っていることが全く改善しなかったということもあります。

また機能がたくさんある高価なものを購入してみたけれど、その機能を十分に活かしきれないということもあるでしょう。

ある程度予算を設定しておくことは非常に大切ですが、長期的な視点で、どこを妥協してはいけないかをよく検討する必要があります。

どこまで高価な補聴器が必要かはよく検討を

高価な補聴器は、オーダーメイドで型を作成する必要があったり、機能性が高いなど高額である理由があります。

同じメーカーの製品で比較すれば、高価な補聴器ほど性能が上であることは間違いありません。

しかし、高額なものが全ての人に良い聴こえをもたらすかというと、必ずしもそうではありません。

たとえば高齢者の方は、視力も低下し指先の力も弱っている可能性があります。細かな操作が難しい人は、たとえ機能が良くても、小型な補聴器の電池交換や操作をすることは難しくなりますし、紛失する可能性もあります。

こういった方には、操作のしやすい大きめの補聴器が満足して使えることがあるのです。

安すぎるものは本当に補聴器?

これまで、補聴器は管理医療機器で、購入時にも丁寧な相談が必要と繰り返してきました。

しかし、新聞広告や家電量販店などで、一見補聴器に見える機器が安価に販売されていることがあります。

これらは、補聴器型の集音器であることがほとんどで、補聴器と集音器は異なることに注意しましょう。

集音器を購入して使いにくかった、満足できなかったと誤解してしまい、補聴器の本当の使いやすさに出会えないことはもったいないことです。

まとめ

補聴器は即決できるような金額ではありませんし、即決することは避けたほうが良い機器です。

価格は形状や用途によっても幅があります。購入にあたっては、専門性のある販売店でしっかりと相談をして、後悔のないように機器の選定をしていきましょう。

なお、にじいろ補聴器ではこどもや学生・若年者向けに各種割引制度を設けていますので、ぜひご利用ください。

(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。