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片耳が聞こえにくい一側性難聴とクロス補聴器
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
加齢による難聴は、通常両耳とも聴力が徐々に低下していきますが、突発性難聴など、片耳のみ聴力が低下する場合もあります。片耳のみの難聴を一側性難聴といいます。
一側性難聴(一側聾)に対しては、クロス補聴器(CROS補聴システム)という仕組みが活用される場合もあります。
一側性難聴の原因
一側性難聴の原因として、下記のようなものが挙げられますが、原因が特定できない場合も多いです。
- 先天性遺伝性難聴
- ムンプス難聴(おたふくかぜによる難聴)
- 突発性難聴
1000人に1~2人の頻度で一側性難聴が出現すると言われていますが、片耳が聞こえているので症状が目立ちにくく、発見が遅れてしまうこともあります。
一側性難聴による聞こえの問題
一側性難聴について、かつては日常生活においてほとんど支障はないと考えられ、軽視されていたこともありましたが、実際は状況によって様々な困難を抱えていることが指摘されるようになってきました。
周囲の人になかなか理解してもらえないことも多く、心理的な負担も軽視できません。
聞こえない耳側からの聞き取りや会話の理解の困難
座席の配置によっては会話が聞き取れなかったり、電話中に声をかけられても気づけなかったりといった問題が生じます。
騒音下での会話の聞き取りの困難
本来、人間は両耳で聞くことにより、騒音下であっても必要な音だけを選択的に拾い自然と聞き取ることができるようになっています。(カクテルパーティー効果)
一側性難聴では、このような環境での聞き取りは非常に難しくなります。
音源定位の困難
どの方向から話しかけられているのかわからない、車の音など危険を察知するための音もどこから鳴っているのかわからない、といった問題が生じます。
一側性難聴と補聴器
片側の耳が聞こえにくいのであれば、聞こえにくいほうの耳に補聴器を装用すればよいのではないかと考えられるかもしれませんが、実はそう単純な問題でもありません。
左右の聴力差が大きい場合は、補聴器を装用しても健聴者と同じ程度の両耳聴の効果を得ることは難しいとされています。
聴力の状態によって、補助的な役割として補聴器を使用することももちろんありますが、どの程度の効果が見込めるか、補聴器相談医や言語聴覚士などと良く相談したうえで購入を検討するのが良いでしょう。
クロス補聴器とは
通常の補聴器以外に、一側性難聴に対する援助システムとして、クロス補聴器(クロス補聴システム)というものがあります。
クロス補聴器は、聞こえない耳側に装用する送信機と、聞こえる耳側に装用する受信機で構成されます。
送信機のマイクで拾った音を無線で受信機に飛ばすことで、聞こえない耳側の音を聞こえる耳で聴取するという仕組みです。
これにより、聞こえない側から話しかけられても気づくことができたり、座席の位置によらず会話が聞き取りやすくなったりといった効果が期待できます。
ただし、あくまで音を聞いているのは聞こえる側の耳ですので、音の方向感覚については改善が難しいでしょう。
送信機の見た目は通常の耳かけ型補聴器とほぼ一緒で、メーカーによっては耳あな型を選択することも可能です。
もう片方の耳にも難聴がある場合に使用する「バイクロス(BiCROS)補聴器」
片方の耳がほとんど聞こえず、もう片方の耳にもある程度の難聴がある場合は、クロス補聴システムの受信機側で音を増幅して聞くバイクロス方式を取ると有効な場合があります。
使用する機器はクロス補聴器と同様なので、最初は音を増幅しないクロス方式で使用していて、万が一、良聴耳側にも聞こえの低下が表れてきた場合には、機器を買い替えることなくバイクロス方式に変更することが可能なケースが多いです。
ロジャーなどの補聴援助システムが有効な場合も
騒音下での聞き取りや会議・授業での聞き取りについては、クロス補聴器のほか、マイクで拾った話し手の声を聞き手の耳に装用した受信機に直接送信するロジャーなどの補聴援助システムが有効な場合もあります。
クロス補聴器とロジャー、自分の使用環境に合わせて使いやすいものを選択していくと良いでしょう。
まとめ
一側性難聴は、周囲からはわかりにくいですが、日常生活で様々な困難を抱えています。
通常の補聴器では効果を実感しにくい場合もありますが、通常の補聴器以外にも、クロス補聴器やロジャーなど様々な援助システムが存在します。
にじいろ補聴器ではこれらの製品を取り扱っており、お試しすることもできますので、お気軽にご相談ください。
(本記事は、言語聴覚士が監修しています。)
この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。