補聴器・聞こえの
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補聴器の種類と特徴
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
現在の日本は高齢化社会を迎え、補聴器を必要としている人が少なくありません。
「テレビの音が聞こえない」など日常生活にある音が聞こえづらく本人が困っているだけではなく、家族が会話のしづらさに気が付いて補聴器を検討する人もいるでしょう。
しかし、いざ補聴器を買おうと思っても、どのようなものを買ったら良いのか迷ってしまうのではないでしょうか。
補聴器にはいくつかのタイプがあり、それぞれに特徴があります。この記事では、補聴器のタイプについて紹介していきます。
補聴器にはいくつかのタイプに分かれる
現在普及している補聴器は、主に以下のような種類があります。順番にみていきましょう。
耳かけ型
耳かけ型の補聴器は、耳にかけて使います。日本補聴器工業会の調査によると、2016年度に国内で最も出荷されたのが耳かけ型でした。耳かけ型の補聴器はさらに細かく分けることができます。
BTE
補聴器の機能の全てが耳の後ろにかける部分に収まっているタイプです。軽度から重度まで幅広い聴力の方に使用できるよう、様々な機種が揃っています。
RIC(Receiver in the canal)
スピーカーにあたるイヤホン(レシーバー)と耳に掛ける本体が分かれ、ワイヤーで繋がっています。BTEに比べて小型です。イヤホン部分の故障を防ぐために、耳の中の状態によっては使えない人もいます。
耳かけ型は幅広い聴力に対応できるよう、機種が豊富です。デザインも、シンプルなものからカラフルなものまでとバリエーションが豊富で、さらに自分でデコレーションをする人もいるほどです。一方で、耳にかけて使うため、眼鏡を併用する人に不快さを与える場合もあります。また特に小型な機種では、細かく手指を動かすのが難しい人にとっては、操作性の面で課題があるかもしれません。
耳あな型
耳あな型は補聴器としては比較的コンパクトなタイプです。耳あな型もいくつかの種類に分けられます。
IIC
耳の奥まで入る最も小さいタイプです。余程しっかりと見ないと気づかれないくらい目立たないサイズです。小型であるため、やや操作が大変であることや、紛失してしまうという可能性があります。
CIC
IICよりは少し大きく、耳の穴とほぼ同じサイズで全体が耳の穴に入る大きさです。
ITC(カナル型)
耳の穴から少しはみ出すくらいの大きさです。耳元に視線がいけば、補聴器を使用していることに気づかれますが、比較的目立たないタイプです。ボリューム調整のボタンをつけることが可能なサイズです。
ITE(フル)
ITCよりも大きく、耳あなのくぼみが埋まるような大きさです。耳あな型の中では最も大きなサイズとなります。やや目立つかもしれませんが、ボリューム操作ボタンが付けられるなど、機能としては充実しているモデルです。
耳あな型は補聴器の本体そのものを耳あなに挿入します。快適な使用には耳あなにフィットすることが大切ですが、耳あなの形は人それぞれで異なります。そのため、耳あな型の補聴器は、耳あなの採型をして、オーダーメードでつくることが一般的となっています。目立たないという特徴に加えて、耳あなにすっぽり入ることから、耳介効果を活かした自然な聞こえに近づくともいわれます。しかし、その小ささから装着時や電池交換といった操作の難易度が高くなる場合もあります。
ポケット型
小型のラジオのようなイメージで、補聴器の本体をポケットに入れておくタイプです。本体を取り出して確認をすることができ、耳かけ型や耳あな型に比べると操作がしやすいでしょう。また、高出力が可能で、他の機種に比べてボリュームを大きくすることが可能な機種もあります。
骨導補聴器
骨導補聴器は、頭蓋骨を介して音を聞くための補聴器です。
私たちの耳は、音を空気の振動として受け取り、電気信号に変化させて神経や脳に伝えています。しかし、私たちが音を聞く方法はそれだけではなく、骨を介して音を聞く「骨伝導」という方法を併用しています。耳を塞いでもある程度の音が聞こえるのは、骨伝導を用いているからです。骨導補聴器は、この骨伝導の仕組みを用いています。
骨導補聴器は伝音難聴の方に用いられる補聴器です。伝音難聴とは、音を聞く過程のうちでも空気の振動を増幅する過程に問題がある難聴です。より脳に近い部分、つまり神経が障害されているような感音難聴の方は、活用が難しい補聴器です。
骨導補聴器はメガネ型のものであれば見た目には違和感なく使用ができるでしょう。しかし、耳の後ろにある骨にしっかりフィットさせなければならないため、位置調整が難しかったり、締め付けによる不快感を呈したりすることがあります。
耳鼻科や販売員さんと相談しよう
補聴器は、他の人の評判が良いものが、自分にも合うかというとそうではありません。補聴器は使う人の聴力やことばの聞き取りの力、そして使いたい場面などを考慮して選択していくものです。そのため、耳鼻科医の助言や信頼できる販売店での丁寧なカウンセリングが必要です。
最近では通信販売で販売されている補聴器や集音器もありますが、補聴器は購入後も細やかな調整が必要です。通いやすく、相談のしやすい販売店を見つけていくことが必要です。
まとめ
補聴器といっても、いくつかの形状があります。形状によっては機能の制限があったり、操作が難しかったりすることもあります。補聴器を使いたい人がどういった点で困っているか、どの程度の使いやすさが良いのかによって選ぶ補聴器は異なります。補聴器販売店では、専門のスタッフが丁寧にカウンセリングを行いながら、個人に合わせた補聴器を一緒に考えてくれるでしょう。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
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この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。