補聴器・聞こえの
無料相談受付中
(予約優先制)
補聴器の公的な助成金・医療費控除
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
管理医療機器にあたる補聴器は、比較的高額な費用が必要です(補聴器の価格・相場)。また、健康保険や生命保険では、補聴器の費用が給付されるということはありません。
しかし、補聴器は必要な手続きをとって障害者手帳の交付や給付金の交付条件に該当すれば、公的な助成金が給付されます。この記事では、補聴器に関する公的な助成金の情報や申請の流れについてお伝えします。
補聴器は補装具支給制度の対象
平成25年4月1日に障害者総合支援法という法律が施行されました。 障害者総合支援法では、障害のある人がサービスを利用した際に、行政が費用の一部を負担する自立支援給付があります。
自立支援給付は、障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)、自立支援医療、相談支援事業、補装具といったいくつかのサービスがあります。
補聴器は、この中の補装具に位置づけられています。補装具とは、障害のある方が失った、あるいは機能が低下している部分を補うための道具のことです。
車いすや義肢、杖のほか、補聴器や義眼も含まれています。補聴器は、必要な手続きを踏んで給付判定がおりれば、費用の一部負担をすることで購入することができます。
どうやったら給付されるの?
では、補装具の購入費用の給付を受けるためには、どのようにしたらよいのでしょうか。
自分から申請が必要
補装具に対する費用の給付は、何もしなくても貰えるものではありません。あくまでも、自分で申請をすることで手続きが開始となります。
申請場所は、居住する市区町村の社会福祉協議会や役所の福祉課などにあたりますが、自治体によって窓口が異なるので、詳しくは直接問い合わせてみることが必要です。
ここでは、障害者総合支援法に基づく給付申請と補聴器購入までの一般的な流れについて紹介します。
身体障害者手帳を取得する
補装具の購入費用の給付にあたっては身体障害者手帳が必要です。所有していない場合は、まず身体障害者手帳の申請から始めます。まずは窓口に出向くことから始めなければなりません。
- 1. 市区町村の所定窓口で新身体障害者手帳交付申請書を貰います。
- 2. 医師に身体障害診断書・意見書を書いてもらいます。この書類は、どんな医師でも書いてもらえるわけではありません。申請窓口で書類を貰う際に、指定されている病院を確認しておきましょう。
- 3. 書類が揃ったら窓口に書類を提出し、身体障害者手帳の申請を行います。この書類をもとにして、手帳の交付について可能かどうか、判定されることになります。
- 4. 判定の結果許可が下りれば手帳が交付されることになります。聴覚障害の等級は2級、3級、4級、6級の4区分があります。2級が最も重度にあたり、両耳がほぼ聴こえないというレベルです。普通の会話はなんとか聞き取れるというレベルでは手帳の交付が難しいこともあります。
補聴器購入費用給付申請をする
身体障害者手帳が交付されたら、改めて市区町村の窓口へ行き今度は補聴器給付申請の書類をもらいます。
- 5. 病院で補聴器購入費給付診断書・意見書を書いてもらいます。こちらも事前に、書類を記載してもらえる指定病院を確認しておきましょう。
- 6. 書類を持って、補聴器販売店へ行き補聴器について相談をします。購入する補聴器の目途がついたら、書類をもとにして見積もりを取ってくれます。
- 7. 身体障害者手帳と印鑑を持って役所の窓口に
- 補聴器購入費用給付申請書
- 補聴器購入費用給付診断書・意見書
- 補聴器の価格見積書
- 8. 判定の結果給付の許可がおりたら補装具費支給券が支給されます。この支給券を持参すれば、店頭での支払いは1割の負担で済むことになります。
支給される金額は決まっているの?
補聴器の購入費用給付といっても、どんな補聴器でも購入が可能というわけではありません。どんなに高額な補聴器でも購入できるわけではありません。
補聴器は形状や機能によっていくつかの種類に分かれています。補聴器の種類ごとに助成の上限金額が設けられています。詳しくは居住地の申請窓口で確認しておけば確実です。
総合支援法対応の補聴器
補聴器の給付金額は形状等により一定の金額(基準額)が定められていますが、各補聴器メーカーでは、その基準額に合わせた価格の補聴器を「総合支援法対応モデル」として用意しています。
この総合支援法対応モデルの補聴器は、補装具支給制度を利用する方が購入できるモデルとなっています。
最新の機種と比較すると性能的に若干見劣りする点もありますが、近年は比較的高性能な機種を総合支援法モデルに割り当てるメーカーも増えてきています。
どの程度の性能のものが基準額で購入できるのか、販売店の方によく確認すると良いでしょう。
自治体によっては独自の給付があるところも
居住する自治体によっては、独自の給付があるところもあります。難聴の程度や年齢、所得、必要書類などは、それぞれの自治体が設定しています。
たとえば、東京都港区では、60歳以上の高齢者を対象とした補聴器購入費の助成制度を2022年4月からスタートしました。
また、東京都では、中等度難聴児発達支援事業として、18歳未満のお子さんに対しての補聴器の公的補助制度があります。各市区町村が実施主体となっているので、担当窓口で「補聴器を買いたいのだけれど、使える給付はありますか?」と率直に聞いてみると良いでしょう。
医療費控除について
上記のような制度に該当せず補助金を使えない方の中には、では補聴器の購入費用は医療費控除の対象になるのか、と気になる方も多いと思います。
単に日常生活の補助としての補聴器の購入は医療費控除の対象とはなりませんが、「医師等による診療や治療を受けるために直接必要な場合」は医療費控除の対象となる可能性があります。(一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額に限る)
補聴器購入前に、耳鼻咽喉科の医師の中でも、補聴器相談医に相談して、治療や診療に補聴器が必要な旨の記載を含めた診療情報提供書を書いてもらえないか確認してみるといいかもしれません。
※あくまで具体的に「診療や治療を受けるために直接必要な場合」のみ医療費控除の対象として認められる可能性があります。医療機関を受診すれば必ず医療費控除の対象となるわけではないのでご注意ください。
医療費控除の申告に関して、詳しい手順や条件、必要書類等に関しては税理士や管轄の税務署にご確認ください。
※販売店で医療費控除の対象になるかどうかの判定はできません。当店で発行できる書類はあくまで「領収書」のみとなります。
外部リンク:補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて(国税庁)
まとめ
補聴器は適切に申請を行えば購入費用が給付されることがあります。ただし、前提として、ある基準よりも重度の難聴があり、身体障害者手帳を有していることが必要となります。
手続きに多少の時間や手間はかかりますが、もし要件に該当するのであれば、公的な助成金を利用して補聴器の購入を検討してみることもひとつです。日々のコミュニケーションや生活の快適さに繋がるかもしれません。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
あわせて読みたい関連記事
この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。