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ロジャー(デジタル補聴援助システム)の特徴と使い方
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
補聴器を装用していても聞き取りが困難な場面というのも存在します。例えば、講演会や学校の授業など、話し手との距離が離れている場合、補聴器では十分に話し手の声が拾えなかったり、周りの雑音にかき消されてしまったりして、聞き取るのは困難になってきます。
そういった場面で聞き取りを助けてくれるのが、ワイヤレス補聴援助システムです。従来から「FMシステム」と呼ばれる補聴援助システムがありましたが、ここでは、FMシステムよりも音質や安定性の向上したデジタル補聴援助システムRoger(ロジャー)について説明していきます。
- ロジャーとは
- ステレオサウンドにも対応の送信機「ロジャーオン(V2)」
- 職場やプライベートでおすすめの送信機「ロジャーセレクト」
- 会議専用の卓上置き型送信機「ロジャーテーブルマイクⅡ」
- 手持ちでインタビュースタイルが使いやすい送信機「ロジャーペン」
- 拡張性が高く、教育現場や大規模会場向きの送信機「ロジャータッチスクリーンマイク」
- お使いの補聴器・人工内耳に合わせて受信機を選択
- 正常聴力でもロジャーを使うことはできる
- 障害者差別解消法による合理的配慮の事例として増えるロジャー設備導入
- まとめ
Roger(ロジャー)とは
フォナックより発売されているロジャーは、話し手が使用する「送信機(ワイヤレスマイクロホン)」と、聞き手が使用する「受信機」で構成されるシステムです。
ワイヤレスマイクで拾った音声をデジタル無線方式で送信するので、補聴器や人工内耳だけでは言葉の聞き取りが難しい環境でも、よりクリアな聞こえが実現できます。
ロジャーの価格等の一覧については、取扱商品ページをご覧ください。
ロジャーの特徴
誰でも簡単に使える
国内で販売されている多くの補聴器・人工内耳に対応しているだけでなく、補聴器・人工内耳を使用していない方でも使える受信機も用意されています。
送信機と受信機はボタン一つでつながるので、操作もとても簡単です。
複数台接続可能
ロジャーのワイヤレスマイクから音を届けることのできる受信機の台数は無制限、かつ送信機も複数台使用可能です。
学校での授業や講演会などでも、多くの聞き手に話し手の声を届けられます。
デジタル処理で不要な音は取り除く
デジタル無線方式で高音質の音声を届けるだけでなく、指向性・自動音量調節・デジタル騒音抑制など、独自のテクノロジーで騒音を効率的にカットします。
ステレオサウンドにも対応の送信機「ロジャーオン(V2)」
ロジャー送信機はこれまで何種類か発売されていますが、ここではまず、2022年1月26日発売の「ロジャーオン」について、使い方などを詳しく紹介していきます。※2023年9月1日には、バージョンアップ版の「ロジャーオンV2」が発売しております。
ステレオサウンドにも対応した小型マイク
ロジャーオンは幅24mm×長さ100mm×高さ14mmというコンパクトサイズで、27gと非常に軽量なワイヤレスマイクです。薄型のレーザーポインターのような形状で持ちやすく、多様な場面で使いやすい形状となっています。
また、小型のディスプレーを備えており、動作状態などが一目でわかりやすくなっています。
カラーはシャンパン、グラファイトグレーの2色からお好きなカラーを選択できます。(写真はシャンパン)
USB-TypeC端子での充電式で、3時間の充電で約6~8時間使用できます。
3つのマイクモードに自動切換え
ロジャーオンには、「卓上モード」、「プレゼンターモード」、「インタビューモード」の3つのマイクモードがあり、内蔵の加速度センサーにより自動的にモードが切り替わります(手動での切り替えも可能)。
卓上モード
ロジャーオンを水平なテーブル等の上に置くことで自動的に卓上モードに切り替わります。
卓上モードでは、騒音下でのSN比(音声と騒音のバランス)を瞬時に解析して、三角に配置された3つのマイクが最適な指向性パターンを形成します。
会議やレストランでの会話などで卓上に置くことで、騒がしい環境での会話に役立ちます。
プレゼンターモード
ロジャーオンの背面にはクリップになっており、襟や胸元に装着することでプレゼンターモードに切り替わります。
プレゼンターモードでは、話し手の口元に向かって指向性が働くため、周囲の雑音の影響を受けにくく、話し手の声がより聞き取りやすくなります。胸元に斜めに取り付けた場合でも、自動的に常に上向きの指向性が形成されます。
講義やプレゼンなど特定の話し手が決まっている場面で非常に有効です。
ネックストラップも付属されているため、首掛けスタイルでも使用可能です。
インタビューモード
ロジャーオンを水平の状態から60°までの範囲で傾けるとインタビューモードに切り替わります。
インタビューモードでは一直線に並んだ3つのマイクが鋭い指向性を形成し、マイクを向けた話し手にフォーカスします。
聞き手が選択的にピンポイントで聞きたい相手の声を受信することが可能となります。
付属のソフトケースはスタンド代わりにも
付属されているソフトケースはスタンド代わりに使用することも可能で、この時はインタビューモードに切り替わります。
カフェなどの騒がしい環境で卓上に置いて、ピンポイントで聞きたい1人に向けて使用することが可能です。
外部音声入力
ロジャーオンのUSB-C端子は、充電だけでなく、外部音声入力にも使用可能です。
スマートフォンや音楽プレイヤー、テレビなどと接続して音楽などを楽しむことが可能です。
また、2023年9月1日発売のロジャーオンV2では「ヘッドセットモード」が搭載されており、PCとUSB接続することで、オンライン通話時に自分の声をロジャーオンV2で拾って相手に届けることが可能です。
なお、Bluetoothによる外部音声入力等には対応していませんので注意が必要です。
さらに、ロジャーオンV2にはドルビーオーディオ対応の「ドッキングステーション」が付属されており、これを使用すると充電しながらテレビや音響機器等の音声をロジャー受信機に届けることが可能になります。
ステレオサウンド対応
ロジャーオンが他の送信機と異なる機能として、ステレオサウンド対応があります。
後述する「マイロジャーマイクアプリ」を使用して「マルチビームテクノロジー2.0」をオンにした上で、手動で卓上モードに切り替えると、両耳の補聴器にステレオで音声が入るようになります(ディスプレイー表示に「LR」と追加されます)。
従来は、両耳の補聴器にモノラルで音声が入ってきていたため音の方向感覚はつかめなかったのですが、ステレオになることで、話し手の声がどの方向から来ているのかが判断しやすくなります。
また、外部入力音声についてもステレオサウンドとなるため、より迫力のある音楽などが楽しめます。
※ステレオサウンドは両耳装用したロジャーダイレクト対応補聴器のみで利用可能です。ロジャーダイレクト以外の受信機を使用する場合はステレオサウンドにはなりません。
マイロジャーマイクアプリ
iOSおよびandroid用に「マイロジャーマイクアプリ」がリリースされており、このアプリを通してロジャーオンの操作が可能です。
- マイクロホンモードの切り替え
- 卓上モードでの集音方向の変更
- ミュート/ミュート解除
- バッテリー状態の確認
- 最大2つのカスタム設定
価格
ロジャーオン V2
161,000円(税込)
ロジャーオン V2 iN※ロジャーダイレクト受信機能付き
オープン価格
職場やプライベートでおすすめの送信機「ロジャーセレクト」
続いて、2018年8月発売の「ロジャーセレクト」について、使い方などを詳しく紹介していきます。
コンパクトで軽量なワイヤレスマイク
ロジャーセレクトは直径55mm×高さ12mmという手のひらに収まるコンパクトサイズで、重さもたったの28gと非常に軽量です。持ち運びの際も邪魔にならず、いつでも気軽に使うことができます。
また、カラーはシャンパン、グラファイトグレー、パールホワイトの3色からお好きなカラーを選択できます。(写真はシャンパン)
microUSB端子での充電式で、2時間の充電で約8時間使用できます。(Bluetooth利用時は約4時間)
卓上モードと首かけモードの自動切換え
ロジャーセレクトは、テーブルの上に置くと自動的に卓上モードに切り替わり、クリップやネックストラップで話し手が装着すると自動的に首かけモードに切り替わります。
卓上モード・セレクトモード
卓上モードでは周囲6つのLED(マイクロホンモードインジケータ)が点灯します。
マルチビームテクノロジーにより、会話音と騒音の比率を毎秒数百回解析し、6方向・360度、その瞬間の話し手の声をビームのように捉えます。
会議やレストランでの会話など、騒がしい環境での会話にも役立ちます。
特定の方向の選択
卓上モードで使用しているときに、特定の方向だけの声を聞きたい場合は、その方向を手動で選択できます。
6つあるLEDそれぞれの内側(セレクトキー)をタップすると、そのLEDのみが点灯し、その方向の音を集中的に拾うことができます。
一つの方向だけでなく、複数の方向を同時に選択することも可能です。
ミュート(消音)
ロジャーセレクトの中央(センターキー)をタップすると一時的に消音(ミュート)状態にすることもできます。
消音状態では中央のLED(センターインジケータ)が赤く点灯します。
首かけモード
ロジャーセレクトには、本体に取り付けるクリップとネックストラップが付属されています。
これらを使用して話し手がロジャーセレクトを装着すると、上部に位置するLEDのみが点灯し、自動的に首かけモードに切り替わります。
距離が離れていても話し手の声がロジャー受信機に届けられます。
ロジャーセレクトは約15m離れたところまで音声を飛ばすことが可能です。
ドッキングステーションと外部音声入力
ロジャーセレクトにはドッキングステーションという専用の充電台も付属しています。
ドッキングステーションにロジャーセレクトを置くと充電ができるだけでなく、ドッキングステーション背面に設けられた外部音声入力にテレビなどを接続することが可能です。
これにより、テレビの音がロジャーセレクトを通して聞き手に直接飛んでくるので、聞き取りやすくなります。
また、ロジャーセレクト本体にも外部音声を入力できるので、直接本体に音源を接続して音楽などを楽しむことも可能です。
Bluetooth接続にも対応
ロジャーセレクトはBluetooth接続にも対応しており、携帯電話とペアリングをすれば、ハンズフリーでの通話も楽しめます。
また、音声を文字化するアプリとして人気の「UDトーク」やGoogle「Live Transcribe」用のワイヤレスマイクとして使用することも可能です。
パソコンとBluetooth接続することで、ZoomなどのWEB会議、オンライン授業に使用することも可能です。
※ロジャーダイレクト対応補聴器を使用する場合、ロジャーセレクトのBluetooth機能を同時に使用することはできません。
価格
ロジャーセレクト
140,800円(税込)
ロジャーセレクトiN※ロジャーダイレクト受信機能付き
オープン価格
会議専用の卓上置き型送信機「ロジャーテーブルマイクⅡ」
次に紹介するのは、2019年3月発売の送信機「ロジャーテーブルマイクⅡ」です。
会議で活躍する置き型卓上マイク
ロジャーテーブルマイクⅡは縦横69mm×高さ14mmと、ロジャーセレクトよりやや大きいですが、十分手のひらに収まるほどのサイズで、約4時間の充電で約16時間も使用可能です。
ロジャーテーブルマイクⅡは卓上スタイル専用となっており、まさに会議専用モデルといえるでしょう。複数台接続することも可能で、より広い会議室にも対応可能です。
※ただし、複数台接続時には、各マイクから同時に音声が入ってくるわけではなく、最初に音声を拾ったマイクが優先されて、一つのマイクのみから音声が入ってきます。(難聴者にとって複数人の音声を同時に聴取するのは非常に困難なため)
付属のリモコンで集音範囲の切り替えやミュート操作が可能
ロジャーテーブルマイクⅡには専用のリモコンが付属されており、マイクの集音範囲を切り替えたり、一時的にミュートにするといった操作が可能です。
集音範囲は基本の「広域」と、より範囲を狭める「狭域」の2種類を切り替えて使用可能です。
「広域」での集音距離は約3m、狭域での集音距離は約1.5mとなっており、少人数のミーティングで周囲の雑音の影響を少なくしたい場合は、「狭域」に変更して使用するのがおすすめです。
なお、ロジャーテーブルマイクⅡとロジャー受信機間の通信可能距離は、ロジャーセレクトと同じく約15mとなっています。
外部音声入力にも対応
ロジャーテーブルマイクⅡ本体の側面には、充電用のUSBソケットの他に3.5mmオーディオジャックが設けられており、外部音声の入力にも対応しています。
例えば、テレビ会議や電話会議の機器と接続することで、その音声を直接補聴器に飛ばすといったことも可能となります。
※外部音声入力時はロジャーテーブルマイクⅡのマイク入力は自動的にミュートとなります。
ただし、ロジャーセレクトとは異なり、Bluetooth接続には対応していませんのでご注意下さい。
価格
ロジャーテーブルマイクⅡ
173,800円(税込)
手持ちでインタビュースタイルが使いやすい送信機「ロジャーペン」
「ロジャーペン」はスタイリッシュなペン型のロジャー送信機です。手に持ちやすく、話し相手に向けて使ったり、複数人の話し手に回して使ってもらうなどしやすいタイプです。
※ロジャーペンは2021年12月で販売終了となりました。
持ちやすいペン型のワイヤレスマイク
ロジャーペンは長さ142mm×直径15mmのスタイリッシュなペン型の送信機です。重さはロジャーセレクトと同じ28gで非常に軽量です。
カラーはシルバー、レッド、ブルーの3色からお好みのカラーを選択可能となっています。(写真はシルバー)
microUSB端子での充電式で、2時間の充電で約7時間使用できます。(Bluetooth利用時は約5時間)
3つの使用スタイルに自動切換え
ロジャーペンには、「首掛けスタイル」、「インタビュースタイル」、「卓上スタイル」の3つの使用スタイルがあり、それぞれに最適なマイクロホンモードに自動的に切り替わります(手動での切り替えも可能)。
首掛けスタイル
ロジャーペンの背面はクリップ形状になっており、そこに付属のネックストラップを取り付けることで、首掛けスタイルとして使用することができます。
首掛けスタイルの場合、話し手の口元に向かって指向性が働き、集音距離も20cm程度と非常に限定されるため、周囲の雑音の影響を受けにくく、話し手の声がより聞き取りやすくなります。
講義など特定の話し手が決まっている場面には非常に有効です。
インタビュースタイル
インタビュースタイルは聞き手がロジャーペンを手に持ち、話し手の方向に向けて使用するスタイルです。
首掛けスタイルと同様にマイクを向けた方向に指向性が働きますが、集音距離は最大4mとなるため、テーブルやカウンター越しなど少し離れた人の声も拾いやすくなっています。
本体がペン型で持ちやすいため、他の送信機と比べて非常に使いやすいスタイルです。
聞き手本人がマイクを持つので、聞きたい方向をコントロールしやすいのがメリットです。
卓上スタイル
ロジャーペンを水平なテーブル等の上に置くことで自動的に卓上スタイルに切り替わります。
卓上スタイルでは、マイクは無指向性となり、全方向からの音を拾います。
テーブルを囲んでの複数人での会話の際に有効ですが、マルチビームテクノロジーは搭載されていないため、ロジャーセレクトやロジャーテーブルマイクⅡと比べると周囲の雑音もやや拾いやすくなってしまいます。
充電スタンドと外部音声入力
ロジャーペンには専用の充電スタンドが付属されています。
充電スタンド背面には外部音声入力端子が設けられているので、テレビなどの音響機器を接続することで充電をしながら、テレビや音楽を補聴器で楽しむことができます。
また、ロジャーペン本体のUSB端子にも直接外部音声を入力することも可能です。
Bluetooth接続にも対応
ロジャーペンはロジャーセレクトと同様にBluetooth接続にも対応しているため、携帯電話とペアリングをすれば、ハンズフリー通話も楽しめます。
もちろん「UDトーク」用のワイヤレスマイクとして使用することも可能です。
価格
ロジャーペン
119,900円(税込) ※2021年12月販売終了
拡張性が高く、教育現場や大規模会場向きの送信機「ロジャータッチスクリーンマイク」
「ロジャータッチスクリーンマイク」はタッチ操作が可能な画面を備えたロジャー送信機です。通信距離が約20mと長く、周辺機器による拡張性も高いため、教育現場や大規模な会場での使用におすすめです。
タッチスクリーン搭載のワイヤレスマイク
ロジャータッチスクリーンマイクは操作しやすいタッチスクリーンを搭載した、幅55mm×奥行104mm×高さ16mmの送信機です。重さは94gと他の送信機と比べるとやや重いですが、操作性が高く、使用状況も画面で確認できるといったメリットがあります。
使用可能距離は約20mとなっており、教育現場にもおすすめのモデルです。
microUSB端子での充電式で、2時間の充電で約10時間使用できます。
3つのモードを自動切換え
ロジャータッチスクリーンマイクには、「首掛けモード」、「小グループモード」、「インタビューモード」の3つのモードがあり、それぞれに最適なマイクロホンモードに自動的に切り替わります(手動での切り替えも可能)。
※初期設定ではインタビューモードは無効となっています。
首掛けモード
ロジャータッチスクリーンマイクにはネックストラップが付属されており、首に掛けることで首掛けモードとして使用できます。
首掛けモードは、他の送信機の首掛けモードと同様に、話し手の口元に向かって指向性が働くため、周囲の雑音の影響を受けにくく、話し手の声がより聞き取りやすくなります。
インタビューモード
インタビューモードは聞き手がロジャータッチスクリーンマイクを持ち、話し手の方向に向けて使用するモードです。
聞き手がピンポイントで聞きたい相手の声を受信することができます。
小グループモード
ロジャータッチスクリーンマイクを卓上に置いて使用するモードです。
2~5名程度の少人数のグループ内で話し手の声を聞くときに使用します。
ロジャータッチスクリーンマイクに搭載された3つのマイクが集音方向を自動調整して、話をしている人の声を優先的に集音してくれます。
「ロジャーパスアラウンドマイク」を子機として増設可能
ロジャータッチスクリーンマイクは補助マイクとして別売りの「ロジャーパスアラウンドマイク」を同一ネットワーク内で使用可能です。
例えば講義中に、講師がタッチスクリーンマイクを使用し、生徒が発表する際にはパスアラウンドマイクを回して使用するといったことができるので、席が離れていても安心です。
ロジャータッチスクリーンマイクの場合、同一ネットワーク内で最大35台の送信機を使用することが可能です。
外部音声入出力対応だがBluetoothは非対応
ロジャータッチスクリーンマイクは、付属のミニピンプラグ・オーディオケーブルを使用することで外部音声を入力したり、PC等に音声出力することも可能です。
ただし、有線接続のみの対応で、Bluetooth接続には対応していないため注意が必要です。
専用の線音源スピーカー「ロジャーデジマスター」にも対応
ロジャータッチスクリーンマイクは、反響音を抑えて話者の声を聞き取りやすくする線音源スピーカー「ロジャーデジマスター」用のワイヤレスマイクとして使用可能です。
講演会場などにおいて、補聴器装用者だけでなく、誰にとっても聞きやすい音環境をシンプルなシステムで構築できます。
価格
ロジャータッチスクリーンマイク
140,800円(税込)
ロジャーパスアラウンドマイク(子機専用)
85,800円(税込)
お使いの補聴器・人工内耳に合わせて受信機を選択
ロジャー受信機にもいろいろな種類がありますが、お使いの補聴器・人工内耳によって選択すべき受信機は異なります。
機種は限定されるが、邪魔にならない一体型受信機
フォナック製の耳かけ型補聴器(一部)や主要な人工内耳であれば、補聴器・人工内耳に直接接続可能な一体型の受信機が使えます。
電源は補聴器・人工内耳から供給されるので、補聴器・人工内耳の電池寿命が短くなるデメリットはありますが、別途受信機を首にかける必要はなくなるので、邪魔になりません。
価格
ロジャー一体型受信機(使用する補聴器・人工内耳により異なる)
101,200円~107,800円(税込)
テレコイル対応機種で気軽に使えるロジャーネックループ
ロジャーネックループはテレコイル(Tコイル)内蔵の補聴器・人工内耳に対応した受信機で、首にかけて使用します。
補聴器側ではテレコイルを使えるようにプログラムを設定して、ロジャー使用時にはプログラムの切り替えが必要になります。
※ロジャーネックループはロジャーマイリンクの後継機種です。
価格
ロジャーネックループ
77,000円(税込)
オーディオシュー・アダプタを介して接続するロジャーエックス
ロジャーエックスは耳かけ型補聴器や人工内耳にオーディオシューやアダプタを取り付け、そこに接続して使用します。
また、耳あな型補聴器やオーディオシューの取り付けられない小型耳かけ型補聴器でも、各メーカーから発売されているワイヤレスアクセサリに接続して使用できる場合もあります。
価格
ロジャーエックス
101,200円(税込)
フォナックのマーベルシリーズ以降の補聴器であればダイレクトに受信可能
フォナックのマーベルシリーズ以降の補聴器(一部耳あな型除く)であれば、「ロジャーダイレクト」に対応しています。ロジャー受信機能をマーベル補聴器本体にインストールすることで、送信機からの音声を補聴器のみでダイレクトに受信することができるようになります。
受信機能のインストールのためには、「ロジャーエックス」もしくは受信機能付きの「ロジャーセレクトiN」や「ロジャーオンiN」を購入して、販売店でインストール作業を行ってもらう必要があります。
マーベルにインストールできる受信機能には2種類ある
ロジャーエックスからのインストールの場合
・ロジャーエックス1台につき補聴器1台(片耳)にインストール可能
・全ての送信機に対応
ロジャーiNからのインストールの場合
・ロジャーiN1台につき補聴器2台(両耳)にインストール可能
・ロジャーセレクト、ロジャーオン、ロジャーテーブルマイクⅡ等の近距離用送信機に対応(ロジャータッチスクリーンマイク等の遠距離用送信機には非対応)
正常聴力でもロジャーを使うことはできる
ここまで、補聴器や人工内耳の装用者向けにロジャーの使い方について解説してきましたが、実は補聴器・人工内耳を装用していない人でもロジャーを使用することが可能です。
ロジャーフォーカスⅡ
ロジャーフォーカスⅡは補聴器・人工内耳不要のレシーバ内蔵型受信機です。
騒がしいところでの聞き取りが苦手な方が使用することで、話し手の声が直接耳に届いてくるので、周りの騒音の影響を少なくすることが可能です。
一側性難聴(UHL)や聴覚情報処理障害(APD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)の方などへの支援にも利用される場合があります。
ロジャーフォーカスⅡ(充電式)は3時間の充電で最大20時間使用可能です。ロジャーフォーカスⅡ-312(電池交換式)は空気電池を使用しており、最大52時間使用可能です。
価格
ロジャーフォーカスⅡ(充電式)
本体 87,780円(税込)+充電器 12,606円(税込)
ロジャーフォーカスⅡ-312(電池交換式)
本体 64,680円(税込)
ロジャーネックループからのヘッドホン出力も可能
ロジャーネックループには、ヘッドホン端子がついているので、ヘッドホンを接続し、補聴器を使用していない方でもヘッドホンを介して使用可能です。
障害者差別解消法による合理的配慮の事例として増えるロジャー設備導入
「合理的配慮」とは、障害者権利条約第2条の定義によると、障害のある人が他の人同様の人権と基本的自由を享受できるように、物事の本質を変えてしまったり、多大な負担を強いたりしない限りにおいて、配慮や調整を行うこととされています。
2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」により、合理的配慮の提供は、国の行政機関・地方公共団体等の場合は法的義務、民間事業者の場合は努力義務が課されています。
※2018年10月より、東京都では条例により民間事業者においても「合理的配慮」の提供が義務化されました。
聴覚に障害のある学生や従業員に対する合理的配慮の一環として、ロジャーを導入する大学や自治体・企業が徐々に増えてきています。
難聴のある方にとって、広い講堂での授業や、会議室における複数人でのミーテイングなどは、聞き取りにくい場合も多く、就学・就業に際し障壁となることがしばしばあります。
ロジャー等の導入により、聴覚に障害のある方が学びやすい・働きやすい環境を整備することで、学校・企業にとっても多様な人材を活用すること、そして誰にとっても過ごしやすい社会を形成することにつながっていくでしょう。
まとめ
騒がしい場所や、話し手が離れている場面での聞き取りに有効なロジャー。
補聴器・人工内耳装用者はもちろんのこと、補聴器・人工内耳を使用していない方も含めて誰でも使うことができる補聴援助システムです。
にじいろ補聴器では各種ロジャー製品を取り扱っており、試聴・貸出対応も可能ですので、お気軽にご相談ください。
ご購入希望で店頭へのご来店が難しい場合は、日本全国への発送も承ります。
また、ロジャー導入を検討されている学校・企業・自治体の皆様からのご相談もお受けいたします。
(本記事は、言語聴覚士が監修しています。)
この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。