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低音障害型感音難聴の特徴・原因・治療について
低音障害型感音難聴の特徴は?
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
低音障害型感音難聴は、急性低音障害型感音難聴(ALHL)とも呼ばれ、突然低音が聞こえづらくなる難聴です。男性よりも女性に多く、20代~40代くらいの年代に多いといわれています。
低音障害型感音難聴は感音性難聴に分類
難聴は、音が耳の入り口から脳に伝わるまでのどの部位で障害されるかによって、伝音性難聴と感音性難聴に分類されます。低音障害型感音難聴は、感音性難聴と呼ばれる難聴に分類される難聴です。
感音性難聴とは
耳の奥には内耳と呼ばれる部分があり、蝸牛というカタツムリの殻のような器官があります。蝸牛の中には音を感じる有毛細胞が並び、内リンパ液という液体で満たされています。音は空気の振動として耳に入りますが、内耳の有毛細胞によって電気信号に変えられて神経や脳に届けられています。
有毛細胞は約1万5千個あるといわれ、どの高さの音を感じるかという役割が分かれています。蝸牛の入り口付近には高い音を感じる細胞が並び、奥になるほど低い音を感じる細胞になるように順番にならんでいます。有毛細胞は、加齢や何らかのダメージによって、だんだんと減っていってしまいます。
内耳から神経や脳にかけてのルートを感音系といい、感音系が原因の難聴を感音性難聴といいます。感音性難聴は遺伝的要因が原因となるものや、加齢によってだんだんと聴力が低下する老人性難聴、ぐるぐるとしためまいが特徴のメニエール病、突発性難聴などがあります。
突発性難聴と低音障害型感音難聴の違い
突然聴力が低下する難聴の代表的なものに突発性難聴がありますが、低音障害型感音難聴とは、いくつかの点が異なります。
以下に、突発性難聴と低音障害型感音難聴の症状の特徴を挙げてみましょう。
突発性難聴
- 急に聴力が低下する
- どの音が聞こえにくくなるかは個人差がある
- ぐるぐるとした回転性のめまいを伴うことがある
- 片耳で起こる
- 同じ側での再発はしない
低音障害型感音難聴
- 耳鳴りや耳のつまり感があり、なんとなく聞き取りにくい
- 急に低音が聞き取りにくくなる
- 回転性のめまいは伴わない
- 片耳のことも、両耳のこともある
- 再発をくりかえす
低音障害型感音難聴は、突発性難聴に比べると初回の症状は軽度といわれます。耳のつまり感を訴えることが多く、難聴については気づかない人もいるほどです。他にも自分の声が響いたり、いつもだったら平気な音に過敏になったり(聴覚過敏)といった聞こえについての不快感を感じることもあります。
また、突発性難聴は片耳のみで起こり、一度起こった側での再発はありません。しかし、低音障害型感音難聴は、両耳で起こることもあり、再発を繰り返すこともあります。
低音障害型感音難聴の原因は?
低音障害型感音難聴が起こるしくみは原因がはっきりとはしていません。しかし、近年の研究では、蝸牛の中を満たしている内リンパ液の流れが悪くなることで、低音を感じる細胞に何らかのダメージを与えているという説が有力とされています。
なぜリンパ液の流れが悪くなるのかについてはわかっていませんが、仕事や生活で睡眠不足が続いたり、疲れやストレスを溜めたりしている状態の人が発症していることから、疲労やストレス、そして自立神経が関与しているのではないかと考えられています。
低音障害型感音難聴の治療方法と予後
治療は外来で薬物療法が中心
低音障害型感音難聴の治療は薬物療法が中心で、ステロイド剤やビタミン剤といった薬が用いられています。低音障害型感音難聴はあらわれる症状としては軽度であるため、外来での治療が主になります。
低音障害型感音難聴は再発することがある
低音障害型感音難聴はあらわれる症状が軽度といわれます。軽度といわれると安心しがちですが、この難聴の厄介なところは再発することがあるということです。
症状を繰り返すうちに、だんだんと難聴が進行していくこともあるため、軽度だから大丈夫とはいえません。何度も繰り返す場合はメニエール病非定型例と診断されることもあります。
低音障害型感音難聴の予防
低音障害型感音難聴は、ストレスや疲労が誘引と考えられています。また、いったん症状が回復しても再発の可能性があり、場合によっては再発のたびに症状が悪化してしまうことすらあります。そのため、症状があらわれてから治療を受けるという対処ではなく、症状があらわれないように「予防」を意識していくことが大切になるでしょう。
予防のポイントは、睡眠と栄養バランスのとれた食事をとり疲労をためないこと、ストレスをためないことです。しかし、忙しい現代ではストレスをためないことは難しいものです。ためないことだけを考えず、発散する方法を見つけておくことも大切でしょう。
軽い運動は血行を良くするだけではなく気分転換にもなります。また、自然の中に出かける、本を読む、ゲームをする、美味しいものを適度に食べる、など自分に合ったストレス発散法をみつけてみてはどうでしょうか。
低音障害型感音難聴と補聴器
低音障害型感音難聴は症状が早期に回復することもある難聴です。ただし、低音障害型感音難聴は、再発する可能性がある難聴です。繰り返しているうちに、だんだんと難聴が進行してしまったり、メニエール病に移行するという例もあります。
補聴器の使用をすぐに検討するような疾患ではありませんが、再発を繰り返し長期的にみて難聴が残存してしまうようであれば、補聴器の使用も検討されることになるでしょう。まずはストレスや疲労をためないような生活を整えていくことが大切になるのではないでしょうか。
まとめ
低音障害型感音難聴は20代~40代の女性に多い難聴で、ストレスや疲労によって誘引されるともいわれています。
耳のつまり感が主症状で難聴も軽度とされていることが多い難聴ですが、自分の声が響いたり、ふだんなら気にならない音が気になっては生活に支障をきたすこともあるでしょう。再発を繰り返すことで長期的には症状が悪化することもありますから、早め早めの対応を心がけましょう。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
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この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。