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補聴器の仕組みと構造
【監修】千葉 星雄
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
現在販売されている補聴器は、デジタル補聴器が主流となってきました。しかし、基本的な仕組みは昔も今も同じです。この記事では補聴器の基本的な仕組みと現代の補聴器についても紹介していきます。
補聴器の仕組み
補聴器の仕組みはコンサートやライブで、マイクを通した声や楽器の音が、アンプを通りスピーカーから会場に大きく届くのと同じです。
簡単に言うと、マイクで音を集めて、アンプで音を増幅・加工し、レシーバーで音を外に出します。この基本的な仕組みは今も変わっていません。
補聴器に含まれるパーツ
現在の補聴器は様々な形状のものがあります。補聴器のサイズによって搭載できる部品が制限されますし、性能が良いものは金額も高額になりがちですが、基本的な仕組みは共通しています。それぞれの役割について少し説明を加えます。
マイク
外から聞こえてきた音は、まずマイクを通して取り込まれます。補聴器は入力された音を基準として、音を調整することになります。
補聴器を通した音が高品質になるためには、マイクの性能が大切です。補聴器は大きいものでもシャツのポケットに入る程度のものですから、マイクも小型である必要があります。また、マイクには取り入れた音を電気信号に変化するという大切な役割があります。
多くの耳かけ型補聴器や、一部の耳あな型補聴器ではマイクを2つ搭載(ツインマイク)しており、背後の雑音を抑えて正面の人の声を聞き取りやすくするといった指向性機能を実現しています。
アンプ
アンプは音を増幅させる役割を持っています。ギターなどステージで音楽活動をしたことがある人は、聞きなれた名称かもしれません。補聴器にもアンプが必要です。
マイクで電気信号に変換された音は、アンプで単純に増幅されるだけではなく、入力された信号をもとに、より自然な情報になるように加工が行われます。
音の強弱のほか、高さや低さ、雑音の有無なども踏まえて加工が行われます。特に補聴器の大きな目的は「コミュニケーションのしやすさ」にあります。
そのため、最近のデジタル補聴器では、話し言葉をよりクリアに聞こえるように雑音を抑えたり、個々の聴力に合わせて調整していく機能が備わっています。
レシーバー(スピーカー)
レシーバーと呼ばれる部分はいわゆるスピ―カーの役割を果たします。
アンプで変換して新しくつくられた電気信号を再び音として出力し、補聴器を使う人の鼓膜に伝えます。
出力できる音のパワーによって、レシーバーのサイズも異なります。聴力に合わせた選択が必要です。
電池
補聴器が動くためには電力が必要です。補聴器は基本的には活動している間は身につけるものですから、電池の消耗には注意が必要です。補聴器用電池は空気電池と呼ばれる特殊な電池なため、常に切らさないようある程度購入しておく必要があります。
また、器種は限られますが、充電タイプの補聴器も発売されています。
イヤモールド
イヤモールドは、オーダーメイドでつくられた樹脂製の耳せんで、主に耳かけ型の補聴器と共に用います。
耳穴の形状は人それぞれです。補聴器で加工した音を確実に耳に届けるためには、耳穴にぴったりフィットした耳栓を使うことが望ましいでしょう。
また、せっかく補聴器が調整をして出力した音も、イヤホンからの音漏れがあると、補聴器がその音を拾ってしまいハウリングと呼ばれる不快な音を発することがあります。適切なイヤモールドを使用することでハウリングを防ぎ、快適な装用に繋がります。
現代の補聴器の機能
デジタル補聴器が中心に
他のデジタル機器が目覚ましく発展したように、補聴器の世界でもデジタル化は進みました。それに伴い、アナログ補聴器の頃には不快さの原因とされた点が改善されてきています。
ハウリングを防ぐ
ハウリングは補聴器が出力した音を再びマイクが拾ってしまうことで、不快な音が生じることを言います。
ぴったりフィットしたイヤーモールドを使うことでハウリングの予防に繋がりますが、最近では補聴器そのものにもハウリングを抑える機能を備えたものが販売されています。
聞きたい音が聞きやすく調整
テレビの音が聞きたい、家族の声をきちんと聞きたいなど、補聴器を使う人が困っている場面も様々です。
購入してすぐ快適になることは難しいかもしれませんが、日常生活の音で困っている場面で快適な聞こえが実現できるように調整を繰り返していきます。
ニーズに合わせた形状
現代の補聴器の形状の主流は、耳かけ型、耳あな型となっています。それぞれサイズの違いだけではなく、性能の部分やライフスタイルによっても使いやすさが異なります。
たとえばお子さんなど活動量の多い場合には、落下しづらい形状のものが望まれます。また、手先が不器用な方は、あまり小型なものは操作がしづらい可能性があります。
デザイン性にも優れているものが多く、まるでアクセサリーのようなカラーの製品もみられます。販売店で相談をしながら、それぞれのニーズに合わせたものを選択していくことが大切です。
個人に合わせた調整
補聴器は人が使っている機器が自分にも合うとは限らないものです。購入前に十分な相談や検討が必要ですが、購入してすぐに自分にとって快適なものになる機器でもありません。
補聴器の装用には、購入後の適切なアフターフォローが必要です。実際に使ってみてどうだったかを販売店に伝えながら調整を繰り返しながら、自分だけの補聴器を作り上げていくことが大切です。
まとめ
様々な形状の補聴器があり、基本的な仕組みは共通しています。しかし、補聴器の世界でも、細かな部分での性能についてはデジタル化が著しく、より快適な装用に繋がる機能も備わってきています。
ただし、性能が良いものが誰しもに合う補聴器とは限りません。購入前には、しっかりと相談や検討を行い、自分のライフスタイルに合う補聴器を選択していくことが必要となります。
(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)
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この記事を監修した人
にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者
千葉 星雄(ちば としお)
北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。