補聴器を買う前に確認すること

10月1日(火) 補聴器専門店「ブルーム三田店」としてリニューアルオープン

補聴器を買う前に確認すること
千葉 星雄

【監修】千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

聴力の低下に気が付いたからといって、すぐに補聴器が買えるものではありません。

耳は人間の身体の中でも特に繊細な器官のひとつで、医師による適切な診断や治療を要することもあります。

この記事では、補聴器を買う前に確認しておきたいことを紹介していきます。

治療できる疾患ではないのか

聴力の低下を感じたら、まずは耳鼻科を受診し、医師の診断や助言を受けることをおすすめします。

特に、急激に聴力が低下したような場合は耳鼻科の受診は必須です。

治る疾患ではないか

聴力の低下については様々な原因があり、中には治療を行うことによって改善の可能性があるものもあります。

耳鼻科では医師の診察の他に、聴力の検査のほかに、必要に応じて中耳や内耳といった目には見えない部分の機能の検査も行います。

補聴器は本当に必要なのか

まずは必要な治療が優先され、聴力の改善が難しいときに補聴器が検討されます。また、難聴によっては、残念ながら補聴器による効果が見込みづらいものもあります。

医学的な視点で、補聴器装用についてのメリットやデメリットについての説明を受けることや、補聴器以外の方針についても見通しを得ることは大切です。

どのような補聴器が良いか

補聴器にはいくつかの種類や形状がありますが、耳の状態によっては使えないタイプのものもあります。

たとえば、耳あな型は非常に小型で、補聴器そのものを耳あなに挿入することになります。

補聴器は精密機器ですので、耳の中の分泌物に影響を受け、音への影響や故障の原因になることがあります。補聴器の選択には聴力以外のポイントも関わってきます。

補聴器販売店で相談する前に

補聴器販売店に行けば、すぐ補聴器を買ってよいかというと少し慎重になることが必要でしょう。

補聴器は精密機器であるだけではなく、その後の定期的な調整も必要となる管理医療機器です。

そのため、費用も比較的高額となりますし、その後の管理についても配慮をしていくことが必要です。補聴器を買う前におさえておきたいポイントを挙げておきましょう。

使う人の意欲はあるのか

補聴器の購入を検討し始めたのが、本人ではなく家族や身近な人の場合には注意が必要です。

補聴器は使用者本人に合わせて調整を行い、作り上げていく医療機器です。しかし、本人に難聴の自覚がないときや、補聴器の必要性をあまり感じていないと、折角の補聴器を着けなくなってしまうことがあります。

すぐに購入を決めるのではなく、必ず試用期間をつくって使用する人に快適さを実感してもらうことも重要です。

どんな場面で困っているのか

補聴器を使う環境は人それぞれです。お子さんなど、学校生活やスポーツ活動でも随時使用したい場合もあれば、高齢な方など家族との会話を楽しみたい、テレビをちゃんと聞きたいなどの要望があるでしょう。

どういった場面で使用したいのか、についてもある程度考えておくと良いでしょう。

小型で高性能の機器だけを視野にいれない

現在は小型で高性能の補聴器の機種も豊富になってきました。しかし、小型な補聴器が誰しもに適しているとは限りません。

たとえば、小さな補聴器は指先が不器用な人には大変扱いづらいものです。機能が高くても日常的な管理にストレスが溜まるようでは元も子もありません。

補聴器はできるだけ生活の中で長く装用したい機器です。管理のしやすさは、補聴器を購入する際に大切なポイントでしょう。

長く付き合える販売店を見つける

補聴器は購入してすぐに快適に使えるという機器ではありません。適切な管理や調整を行いながら、使う人にあったものを作り上げていくものです。長く付き合える販売店は欠かせません。

通いやすい立地にあるか

不具合があっても、販売店が遠方のためそのまま使用をしなくなり、さらに紛失してしまうということが起こり得ます。

困ったときにすぐに店頭に行くことができる販売店が望ましいでしょう。

疑問に対する説明が的確か

疑問に対して、しっかりと答えてくれる販売店を選びたいものです。疑問を持っているにも関わらず、高価な補聴器の購入をしきりに勧めてくるような店は避けたいものです。

貸出期間があるか

補聴器は高額でもあり、誰しもがすぐに満足する機種に出会えるとは限りません。店舗によっては一定期間レンタル期間を設けています。

実際に生活の中で聞き比べをしてじっくり検討することができるでしょう。

まとめ

補聴器を買う際には、耳鼻科の助言を受け医学的にみた耳の状態を知ることが大切です。

また、いざ補聴器を買う際にも、短期間で購入を決めるのではなく、事前にポイントを抑えておくことで、長く付き合える販売店と満足いく補聴器に出会うことに繋がるのではないでしょうか。

(本記事は、言語聴覚士が作成・監修しています。)

この記事を監修した人

千葉 星雄

にじいろ補聴器 店長
言語聴覚士・認定補聴器技能者

千葉 星雄(ちば としお)

北海道出身・北海道大学 工学部 卒業
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士免許取得後、補聴器専門店と補聴器メーカーでの勤務を経てにじいろ補聴器を開業。